欧州

2024.02.19 09:30

アウジーイウカ撤退のウクライナ軍が最後の一撃、ロシア軍3機を撃墜か

安井克至

ILya Oslyakov / Shutterstock.com

ウクライナ軍の第110独立機械化旅団は2月16日、ドローン(無人機)や特殊部隊、同軍屈指の第3強襲旅団の援護を受けながら東部ドネツク州の防御拠点アウジーイウカから撤退し、4カ月にわたる激戦に終止符を打った。

第110旅団のアウジーイウカ防衛は、同旅団の戦前の兵力約2000人の大半を犠牲にしたかもしれない。だが、ロシア軍はそれよりはるかに多くの犠牲を払った。

ロシアが占領するウクライナ東部ドネツクの北西約8kmに位置する工業都市アウジーイウカへの攻撃には、ロシア軍の第2、第41両諸兵科連合軍から12個以上の旅団が参加した。

これらの旅団の大半は、兵士のほとんどを失ったようだ。アウジーイウカとその周辺でのロシア軍の死傷者は計3万人を超えるかもしれない。米当局者によると、16週間にわたる戦闘の最初の6週間だけで、ロシア兵1万3000人がアウジーイウカ周辺で死傷した。

そして撤退するウクライナ軍は、第110旅団と隣接部隊を標的に空爆しようとしていたらしいロシア空軍の戦闘爆撃機3機を狙って、アウジーイウカでの戦闘を締めくくるミサイルを発射したようだ。

第110旅団の生き残った兵士が17日早朝、アウジーイウカの外れで援護部隊を追い越して西へと急いで退散する中、ウクライナ空軍のミサイルがアウジーイウカの約96km東でロシア空軍のスホーイ戦闘爆撃機を少なくとも1機、もしかすると数機撃墜した。

そのうちの1機のみの墜落映像がある。東部ルハンスク州ディアコベ近くに墜落する様子が映っている。だが、ウクライナ空軍のミコラ・オレシチュク司令官は、自身が率いる部隊が3機撃墜したと主張した。乗員1人が乗り込むSu-35が1機、そして乗員2人のSu-34が2機だ。

撃墜したことを証明するためにオレシチュクは、おそらく損傷した機体から脱出したと思われる乗員4人の緊急位置表示の無線ビーコンを表示したデジタル地図のスクリーンショットをSNSに投稿。「ご覧の通り、システムは機能している!」 とオレシチュクは書き込んだ

アウジーイウカでの戦闘を生き延びたウクライナ兵にとって、この撃墜は思うところがあるものだった。ロシア空軍のスホーイは何週間も第110旅団を執拗に爆撃した。スホーイは東からアウジーイウカに向かって急上昇し、約40km離れたところから衛星誘導の滑空弾KABを投下した。中には重さが1360kgある滑空弾もあった。

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翻訳=溝口慈子

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