恋愛チャットボットを安全に使用するには
プライバシーに関する警告を受けてもバーチャルな恋人とデートをしたいという人に向けて、Mozillaはより安全にチャットボットを利用するためのアドバイスもしている。最も大事な点は、プライバシーが保証されていない以上、友人や同僚に知られたくないことはチャットボットにも話さないことだ。
また、強力なパスワードを使用し、チャットボットの利用が終わったら個人データの削除を求めること、AIモデルのトレーニングへのデータ使用を許諾しないこと、デバイスの位置情報、カメラ、マイクの使用やデバイス内のファイルへのチャットボットのアクセスを拒否することなども助言している。
AIをめぐるプライバシー懸念
急速に拡大するAI市場のプライバシー問題について懸念を表明しているのは、Mozillaだけではない。ユーザーがAIチャットボットに入力する個人情報だけでなく、そもそもAIモデルの訓練に使用されるデータのプライバシー侵害についても懸念が高まっている。
たとえば昨年9月には、マイクロソフトの従業員がAIモデルの学習に使用する38テラバイトの個人情報を誤ってオンライン上に公開していたことが発覚した。流出データを発見したクラウドセキュリティ企業のWiz Researchによれば、公開されていたデータには、パスワードやMicrosoft Teamsで交わされたメッセージ3万件が含まれていた。
暗号化メールサービスTuta(ツタ)の共同創業者であるマティアス・プファウは、AIについて「膨大な量のデータを収集・分析・解釈する能力があるのだから、監視技術とみなされるべきだ」と今年初めに指摘している。
ユーザー情報を収集・蓄積するAIの能力は、OpenAIが今月13日、ChatGPTにユーザーとの過去のやりとりの内容を記憶させる「Memory」機能をテスト中だと発表したことでも改めて注目されている。
OpenAIは新機能について「すべてのチャットで話した内容を記憶することで、同じ情報を繰り返し伝える必要がなくなり、今後の会話がより有益なものになる」とブログで説明。機能はユーザー設定で完全に無効化でき、特定の会話の記憶を消去することも可能だと強調している。
(forbes.com 原文)