最大クロックは通常1~2個のコアでしか同時に達しないが、マルチスレッドを多用しないアプリケーションのパフォーマンス向上に寄与するため、ゲームのパフォーマンスがわずかに向上する可能性がある。インテルは数世代前のCPUから、最高位モデルとして「KS」バージョンを用意している。生産したCPUの中から特に高速なものを選別したもので、通常はその世代のCPU発売後しばらくしてから、限られた数量しか販売されない。
Core i9-14900KSはLGA 1700ソケットのマザーボードに装着可能だが、一世代前の600シリーズのチップセットを搭載したマザーボードだとBIOSの更新が必要になるかもしれない。ただ、その他の仕様はCore i9-14900Kと同じ24コア・32スレッドで、クロック数以外の強化はない。
KSモデルでは、最大クロックが200MHz高くなるだけでなく、すべてのPコアとEコアが同時に達するクロック数も高くなる可能性が高い。例えば、Core i9-13900Kは全Pコアの同時最大クロック数が5.5GHz止まりだが、Core i9-14900Kは全Pコアを5.6GHzまで上げられる。OCCTのデータによると、KSモデルでは全Pコアが同時に5.9GHzまで到達するもようだ。ここでも、Kモデルとの差は200MHzとなる。
その結果、マルチスレッド性能の向上も見込めそうだ。ただしクロック数向上の代償として、消費電力の増加がある。ベースTDPは前世代の13900KSと同じ150Wで、14900Kよりも25W増加しているが、負荷がかかった際の消費電力はこれよりはるかに高くなる。
このパフォーマンス向上により、現在最高のゲーミングCPUと広く評されているAMDの「Ryzen 7 7800X3D」に追いつく可能性がある。現在の価格はRyzen 7 7800X3Dが約400ドル、Ryzen 9 7950Xが520ドル、Ryzen 9 7950X3Dが600ドルなのに対し、Core i9-14900Kは550ドルだ。Core i9-14900KSの価格は、これまでのKSモデルと同じ700ドル以上になる可能性が高い。
これだけ見るとCore i9-14900KSが割高にも思えるが、ゲーム以外での性能はRyzen 7 7800X3Dよりはるかに高く、ゲーミング性能はRyzen 9 7950X3Dよりも安定している。このため、KSモデルは、コストパフォーマンスの良さにはあまりこだわらず、オーバークロックなどをせずとも最大の性能を得られるCPUを求める人によっては魅力的だ。ただし、その実力を知るには正式発表と実際のベンチマークを待つ必要がある。
(forbes.com 原文)