ウクライナのキリーロ・ブダノフ情報総局長はウォール・ストリート・ジャーナル紙のインタビューに答えて、ウクライナに駐留するロシア軍部隊は「一般市場」でスターリンクの端末を購入していると語った。
民間企業などロシアの仲介業者が、ウクライナに展開する部隊に引き渡す前に、他国の第三者業者を通じて端末を購入したとブダノフは主張している。
今週初め、ウクライナ情報当局は、スターリンク端末は「アラブ諸国」で購入されていると発表したが、ブダノフは2月15日、ロシアに隣接する他の旧ソ連の国々からも購入されていると語った。
スターリンク端末は、Yandex.ru、strlnk.ruをはじめとするロシアのウェブサイトでも販売されており、アンテナは占領地で「テスト済み」と宣伝されていると記事は伝えている。
スペースXは、この直近の指摘に対してコメントしていないが、2月9日にX(旧ツイッター)で、端末がロシア国内で販売、出荷され機能していることを否定し、スターリンクを販売している業者は「顧客をだましている」と主張した。
ウクライナ軍は、2022年のロシアによる侵攻当初から、インターネットアクセスのためにスターリンクを使用している。戦争が始まって以来、ウクライナは推定4万2000台のスターリンク端末を、病院、企業、支援団体での使用および軍の通信やドローン攻撃などのために運用している。そしてウクライナ情報当局は、ロシア軍もスターリンクを、主にドンバスとクリミアの占領地で使用していると主張した。
2月11日、ウクライナ情報当局はその主張を繰り返し、ロシア兵らがウクライナ国内でスターリンク端末を設置している音声の録音を証拠として提供した。12秒の短い録音では「スターリンクが機能し、インターネットにつながっている」ことを確認するロシア語話者の声を聞くことができる。
ウクライナ軍はスターリンクを通信目的では今後も使用できるが、スペースXは、同サービスをドローン攻撃のような攻撃手段に用いることを抑制する策を講じてきた。スペースXのCEO、イーロン・マスクは2022年、ロシアの黒海艦隊が多数駐留しているクリミアのセバストポリでドローン攻撃を行うためにスターリンク端末をアクティベートするようウクライナ軍から要求されたとき、個人的に介入した。
マスクは要求を拒否し、これは「小さな真珠湾」につながると自身の伝記作家に伝えた。2023年2月、スペースXのグウィン・ショットウェル社長は、ウクライナがこれ以上ドローン攻撃にスターリンクを使うことを阻止すると発表し、ウクライナ軍は「スターリンクを意図されていない方法で利用しており、それは契約に含まれていない」と主張した。
(forbes.com 原文)