そんな中、決済企業ペイパルの共同創業者でビリオネアのピーター・ティールが、ビットコインとイーサリアムに巨額の投資を行っていたことが明るみに出た。世界のハイテク大手に投資する右派の論客でもあるティールは、昨年後半に自身の投資会社であるファウンダーズ・ファンドを通じてビットコインとイーサリアムに2億ドル(約300億円)の賭けをしたと、2月13日にロイターが匿名の情報筋の話を引用して報じた。
2014年に同ファンドを通じてビットコインへの投資を開始したティールは、コロナ禍の強気相場がピークに達した2022年にそれらを現金化し、約20億ドルのリターンを得た模様であると、英フィナンシャル・タイムズ紙は昨年報じていた。
ロイターによると、ファウンダーズ・ファンドはビットコインが3万ドル以下だった時に新たな投資を始めたが、2億ドルのうちのいくらをビットコインとイーサリアムに割り当てたか、平均価格がいくらだったかは分かっていないという。
ティールは、テスラのイーロン・マスクと共同でペイパルを設立した後に、ビッグデータ解析企業のパランティアを設立し、フェイスブック(現メタ)やマスクのスペースX、エアビーアンドビー、配車サービスのリフトなど100社余りの企業の株式を取得した。また、最近ではパルマー・ラッキーが立ち上げた防衛テクノロジー企業のアンドゥリルなどを支援している。
ティールはまた、1997年に出版されたリバタリアンの間でカルト的人気を誇る『The Sovereign Individual』という書籍の序文を書いたことでも知られている。ビットコインの支持者の多くが近未来を正確に予測した書物として評価するこの本は、世界がインターネットベースの経済に移行するにつれて、地理に根ざした旧来の政府が衰退することを予見している。
ウォーレン・バフェットを敵視
2022年にマイアミで開催されたビットコインのカンファレンスで、ティールは世界が「法定通貨制度の終焉」にあると宣言し、ブラックロックのラリー・フィンクCEOやウォール街の銀行に対し、資金をビットコインに割り当てるよう呼びかけたが、このことは、今年1月の現物ビットコインETF(上場投資信託)の承認につながったとも言える。ティールはまた、伝説的投資家のウォーレン・バフェットを「反社会的なおじいちゃん」と呼び、ブラックロックのフィンクやJPモルガンのジェイミー・ダイモンCEOらと並ぶアンチ暗号資産陣営の親玉に位置づけた。
一方、暗号資産市場のウォッチャーたちは、この先の市場の動きを予測している。グローバル決済インフラのMercuryo(マーキュリョ)のアダム・バーカーは、直近の市場を押し上げている要因のひとつが、イーサリアムベースのETFが承認される可能性に関するニュースにあると述べている。彼はまた、4年に一度訪れるビットコインの半減期が4月中旬に予定されていることにも触れている。
「現在の市場の動きは、4年前の状況を思い起こさせる。当時の市場も加速しており、ビットコインの価格は上昇傾向にあり、それまでの史上最高値を超えられるかどうかに関する多くの議論があった」とバーカーは述べている。
(forbes.com 原文)