アウジーイウカの北80kmほどにあるクラマトルスクの訓練地を出発した第3旅団はアウジーイウカに到着し、第110旅団の生き残りと入れ替わった。
第3旅団は東部で予備として温存されていた唯一の機械化旅団だった可能性がある。ただ、この旅団を、ますます孤立化しているアウジーイウカで不利な戦いをさせるのは、控えめに言っても危険だ。
ウクライナ国防省は12日「すべては計画どおり進んでいる」と主張したが、その計画が賢明かどうかは定かでない。
オランダ製の装甲兵員輸送車、米国製のM2ブラッドレー歩兵戦闘車やマックスプロ装甲トラックなどを配備され、今のところは迫撃砲弾や攻撃用ドローンの在庫もそこそこある第3旅団は、これまで第110旅団がいた掩蓋陣地や塹壕にそのまま入ろうとはしないかもしれない。
そこに陣取れば、はるかに大規模なロシア軍部隊が引き続き、大きな損害を出しながら南北両面から市内に侵入してくるなか、切り離された場所にみずから進んで身を置くも同然だからだ。
第3旅団は市の北西隅にあるコークス工場の敷地内で壕に入り、南北方向の防御線を立て直すことから市の防御に着手するかもしれない。これは市の東側を放棄することを意味するが、安全な補給線を回復できる可能性もある。
不確定要素があるとすれば、アウジーイウカから南へ1.6kmほど離れた場所にある「ゼニト」と呼ばれるウクライナ側の地下要塞だろう。ロシア側が市の北部で遮断したとされる産業道路は南東へ伸びてゼニトにつながっている。ウクライナ側がゼニトへの補給を行うには、危険な未舗装ルートを使うしかなくなった可能性がある。
ウクライナ側はアウジーイウカの東側をロシア側に明け渡すことにした場合、ウクライナ東部で屈指の要塞であるゼニトもそうするだろうか。ほどなく明らかになるだろう。
(forbes.com 原文)