海洋プラスチックごみからタックルボックスを作った老舗メーカー

プレスリリースより

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1887年に創業し、釣具を入れるタックルボックスをはじめ工具箱からスーパーのバスケットまで、さまざまなプラスチックケースを製造販売するリングスターが、海洋プラスチックごみを使ったタックルボックスを発売する。使っているのは、とくにリサイクルが難しいオーシャンプラスチックと呼ばれるもの。

島の形状や潮流の関係で海岸に漂着物が集まりやすい長崎県対馬市は「海ごみの防波堤」とも呼ばれ、1年間に流れ着く海洋プラスチックの量は日本最大。年間およそ2万立方メートルにもなる。リングスターは2023年4月から、対馬に漂着した青いポリタンクを回収し、「対馬オーシャンプラスチックバスケット」と「対馬オーシャンプラスチックボックス」にアップサイクルして販売してきた。それにより、2023年11月までに、青いポリタンク444個分を削減できた。同時に、売り上げのうち使用した海洋プラスチックごみ100グラムにつき100円、総額で44万4000円を対馬市に寄付している。

海洋プラスチックごみは、大きくオーシャンバウンドプラスチックとオーシャンプラスチックの2つに分類される。オーシャンバウンドプラスチックとは、海岸から50キロメートルの範囲内に廃棄されたプラスチックで、そのまま放置しておくといずれ海に流れ出してしまうものを指す。それに対してオーシャンプラスチックは、海を漂い海岸に流れ着いたものだ。そのため、は比較的簡単に回収でき、プラスチックの質もいいオーシャンバウンドプラスチックがリサイクルされることが多いのだが、回収が難しく劣化の激しいオーシャンプラスチックは、リサイクルのコストも余計にかかるため、あまり再利用されていないのが現状だ。

リングスターは「プラスチックのプロ」ならではの貢献を目指し、あえて難しいオーシャンプラスチックを選んだ。プラスチックは、異なる種類を混ぜ合わせると成形不良や耐久力の低下を招きやすく、製品が壊れて思わぬ事故につながる恐れがあるという。そのため、高耐衝撃性ポリプロピレンにオーシャンプラスチックを10パーセントだけ配合することにした。さらに配合率を高めようとすればコストがかさみ、製品の価格が上がって普通に買ってもらえなくなる。それでは意味がない。いろいろな意味で、10パーセントがギリギリのラインということだ。

また、10パーセントと決めることで、オーシャンプラスチックの削減数がわかりやすくなり、取り組みの内容を「不正なく皆さまにお伝えすることができる」と同社は話す。「プラスチック製品をメインとして取り扱うメーカーだからこそ、正しく選ぶ、正しく捨てる、正しく向き合う世界の実現」に向けて活動していくとのこと。

タックルボックスは、300×206×39ミリメートルの「TOP-3000」、その半分のサイズで高さ39ミリメートルの「TOP-1500」、さらにその半分で高さ21ミリメートルの「TOP-750」、さらに半分の「TOP-375」の4つの大きさがあり、それぞれ仕切板付きと、仕切板がないものがある。価格は320円から1950円(税抜き)。4月上旬、全国の釣具店での発売を予定している。

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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