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2024.02.16

脳波を読み取って脳を刺激、睡眠障害や痛みを治療する米AIスタートアップ

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マサチューセッツ州に本拠を置くスタートアップ企業Elemind(エレマインド)は2月6日、脳波を読み取ることで睡眠障害や慢性的な痛み、震えなどの症状を改善し、学習速度の向上を図ることを目指し、1200万ドル(約17億9000万円)を調達したことを明らかにした。同社のウェアラブルデバイスは、臨床試験において睡眠を最大70%早め、生理的な震えを持つ患者の震えを最大50%軽減し、学習率を向上することが実証されたという。

「我々は、装着可能なニューロテックデバイスを使って脳波をリアルタイムで読み取り、神経刺激と呼ばれるものによって介入を行っている」と、エレマインドの共同創業者でCEOのメレディス・ペリー(Meredith Perry)はいう。「音や光、振動、電気を使って脳を刺激することで脳を正確に誘導し、行動の変化につなげることができる。このソリューションは、薬物に似ているが、よりスマートで副作用もない」と彼女は述べている。



同社の資金調達には、マサチューセッツ工科大学(MIT)の投資ファンドが参加した。エレマインドの共同創業者であるデビッド・ワン(David Wang)博士はMITでAI(人工知能)の博士号を取得している。エレマインドは、デバイスの詳細を公表していないが、柔らかいヘッドバンドのようなもので、着用したままで眠りにつけるほど快適だという。

ワンによると、このハードウェアは脳波に対して干渉を行うが、脳波を直接操作する必要はなく、脳が反応するような刺激を与えることで望ましい結果をもたらすことができるのだという。同社は、これを脳のノイズキャンセリングと呼んでいる。

「脳は電気化学的な器官であり、EEG(脳波検査)を使うことで、脳の外側から脳波の活動を測定できる。脳が警戒しているときの脳波はある周波数を示し、疲れて眠いときや集中しているときは別の周波数になる。これまでの研究で、脳波に対して特定のタイミングで刺激を与えることで周波数を速くしたり遅くしたり、増幅したり抑制することができることがわかっている。これはニューロモデュレーションと呼ばれる技術で、我々は脳波そのものを変化させることで、その人の状態を変化させることができることを発見した」とペリーは話す。
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編集=上田裕資

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