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2024.02.15 08:30

株価3000%上昇の大化けも、乱立する「ペニー株」IPOの危険な実態

急増する「ペニー株」のIPO

しかし、逆さ合併の時代は過ぎ去ったかもしれないが、ペニー株のIPOは勢いを増している。フロリダ大学のジェイ・リッター教授が収集したデータによると、昨年のペニー株のIPO件数は47件で、2021年から2023年にかけて合計120件に達したという。これに対し、2000年から2020年までの20年間の件数は108件だった。

「ここ2年間は、マイクロキャップ株(時価総額10億ドル未満の企業の株)とペニー株のIPO件数が異常に多い」とリッター教授は指摘した。

IPOは逆さ合併とは異なり、ダーティーな印象を持たれにくく、セクシーなイメージを打ち出せる。しかし従来は、IPOに投資可能な投資家には、金持ちであることとコネがあることの両方が必要とされていた。そこで、ニューヨークのWebull(ウィブル)証券のような一般投資家に優しい証券会社が登場した。ウィブル証券のウェブサイトには、顧客が購入できる可能性のある銘柄のIPOカレンダーが掲載されており、ペニー株で溢れている。その多くはアジアで事業を展開する企業で、2022年の売上高が800万ドル(約12億円)だった中国の電気自動車用金型メーカーのミンテン・インターナショナルや、日本全国にリラクゼーションサロンをチェーン展開する年商約1300万ドル(約20億円)のZerospo(ゼロスポ)などがある。

アリババとシャオミの元社員であるワン・アンクアンによって2017年に設立されたウィブル証券は、ネット証券/スマホ投資アプリで有名になったロビンフッドのクローンのような存在だ。2023年5月のプレスリリースによると、ウィブル証券のゼロ・コミッションの取引プラットフォームは、世界で1700万人以上のユーザーを誇っている。同社は、ロビンフッドほどの知名度はないかもしれないが、ブルックリン・ネッツ(全米プロバスケットボール協会のチーム)のジャージにロゴを載せるために年間3000万ドル(約45億円)を支払っていることから、スポーツファンは名前を知っているはずだ。

しかし、ウィブル証券が政界で問題視されているのは、同社の親会社の初期支援者であるシャオミとの金銭的なつながりだ。 トランプ政権末期に、シャオミは米国防総省のブラックリストに載り、人民解放軍との関係が指摘された(同社はこれを否定した)。

元共和党下院議員のリー・ゼルディンは、2023年のワシントン・タイムズ紙の論説で、シャオミとの関係からウィブル証券のデータセキュリティに疑問を呈していた。ゼルディンは、中国の法律がウィブルのような企業に中国共産党へのデータの引き渡しを強制することも考えられるため、米国人ユーザーの個人情報が危険にさらされるおそれがあると強調した。ウィブル証券は、フォーブスのコメント要請に応じなかった。
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編集=上田裕資

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