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日本マイクロソフト プロダクトマネージャー 小国幸司氏

2011年3月に発生した東日本大震災は東京・品川に約2500名の従業員を擁する日本マイクロソフトにとっても大きな試練だった。

「同年2月に品川本社オフィスに移転し、弊社のテクノロジーを活用して、社員ひとりひとりが生産性を上げ、革新的な働き方ができるワークスタイル変革の取り組みを開始しました。その新しい働き方を推進する中で、会社に来ないテレワークが有効的だと感じ、全社をあげてテレワークを推進しています。Skype for Businessなどの自社のIT基盤も活用し、全社員が外出先でも、自宅でも、会社と同じように働き、“いつでも、どこでも活躍できる”というコンセプトの働き方です」
と語るのは同社でプロダクトマネージャーを務める小国幸司氏。



「この働き方が全社に浸透する契機となったのが東日本大震災でした。新オフィスへの引っ越しが完了したばかりのタイミングで、地震により翌週は出社を停止。強制的に在宅勤務ベースの働き方になったのです。多少の混乱はありましたが、全社が一丸となって在宅勤務に取り組むことで、なんとか乗り切れた。あの時の経験が弊社のテレワーク推進のベースとなっています」

日本マイクロソフトでは2012年の震災1周年のタイミングで「テレワークの日」を開催。この取り組みは翌年以降も継続して実施され、2014年は外部の賛同法人も募り「テレワーク推奨強化週間 2014」として規模を拡大した。

日本マイクロソフトの社内の様子。社員はテレワークシステムを使い業務を行う。
日本マイクロソフトの社内の様子。社員はテレワークシステムを使い業務を行う。

少子化や高齢化による労働力の減少が叫ばれる中、テレワークの推進は国家としても大きな課題だ。政府の提唱する「世界最先端 IT 国家創造宣言」には「雇用形態の多様化とワーク・ライフ・バランスの実現」との項目があり、テレワークの推進、ワークスタイルの変革などが提唱されている。

宣言の中では下記の2つの数値目標が掲げられた。

・2020 年にはテレワーク導入企業を2012 年度比で3倍に増やす。
・週1日以上終日在宅で就業する「雇用型在宅型テレワーカー」を全労働者数の10%以上に引き上げる。


日本マイクロソフトの実施した「テレワーク推奨強化週間 2014」もこの政府の方針に沿ったもの。賛同法人との取り組みの経験を公開し、日本のテレワークの推進に貢献していく。今年は8月24日から28日の間を実施する予定で、賛同法人を募っている。

政府は今年11月を「テレワーク月間」と定め、テレワークに関する活動を広く国民全体から募集し、専用サイトで紹介する。日本マイクロソフトは、このテレワーク月間にも賛同。中小企業のテレワークの実践に向けて、応援施策「Office 365 テレワーク体験無償セットアップ」を実施するほか、様々な試みを行っていく。

「テレワーク推進の目標は企業の労働生産性を上げること。子育て中の社員が家族と過ごす時間を増やせたり、通勤のストレスを軽減するなどの効果もありますが、企業として大切なのは、それが経営にとってプラスになること。場所や時間にとらわれず、手元の端末から仕事に必要なデータを取り出して業務を行うことで、労働のアウトプットを上げる効果が期待できます」(前出・小国さん)

テレワークシステムを導入すると在宅でも勤務が可能に。
テレワークシステムを導入すると在宅でも勤務が可能に。

同社の「テレワーク推奨強化週間 2014」は昨年、32社の協賛企業の賛同を獲得。今年はその約10倍にのぼる企業の賛同が見込まれている。グローバルでは昨年から新CEOに就任したサティア・ナデラ氏のもと「re-invent productivity(生産性を再発明する)」というスローガンを掲げ、前進を続けている。

また、今年の新たなチャレンジとして挙げられるのが派遣社員へのテレワークの導入。5月にはパソナ社と共同で派遣社員や契約社員のテレワークの導入を推進することを発表した。「これまでは正社員のためのものだったテレワークの裾野を広げる。そのための労務管理ツールの導入も支援し、この動きを加速させていきます」(小国さん)

テレワークに代表されるワークスタイルの多様化は、企業カルチャーを変えていく試みでもある。旧来の企業文化を見直し、多様な働き方を許容し、全ての人々が時間や場所を問わず活躍できる環境を実現する。そのチャレンジは今、確実に歩みを進めている。

取材・文=フォーブス ジャパン編集部 写真=伊藤勇

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