Spotifyは音楽を聴くためのプラットフォームだが、音楽を発見するための役割をここ数年、TikTokに奪われている。TikTokは、音楽のためのアプリとして存在する訳ではないが、新人アーティストのブレイクに貢献し、多くの楽曲をヒットさせた。このアプリは、音楽業界にとって非常に重要だが、両者の関係は険悪だ。
スウェーデンに本拠を置くSpotifyは2月8日、2023年に音楽業界に90億ドル(約1兆3400億円)を支払ったと発表した。この金額はさまざまな権利者に支払われるが、その大部分はミュージシャンに支払われる。もちろん、彼らが十分な金額をアーティストに支払っていないと考える人はまだ多く、単純に金額が合わないという主張も後を絶たない。しかし、同じ批判がTikTokにも寄せられており、より大きな抗議の声が上がっている。
TikTokが実際どれだけの金額を音楽業界に支払っているかは不明だが、音楽業界誌のMusic Business Worldwideは、ユニバーサル・ミュージック・グループの先日の声明を基にしてそれを試算した。同誌の試算によると、TikTokの音楽業界への支払い額は年間で最大4億ドルという。
つまり、SpotifyはTikTokの約22倍の金額を音楽業界に支払っていることになる。この数字は、Spotifyが音楽業界のビジネスに大きな意味を持つことと、TikTokが支払う金額があまりにも少ないという事実を浮き彫りにしている。
世界最大のレコードレーベルであるユニバーサル・ミュージック・グループは1月30日、TikTokから全ての楽曲を引き上げると宣言した。同社は公開した書簡で、TikTokが十分なロイヤリティを支払っていないと主張した。この戦いが今後どのように展開するかは誰にも分からないが、TikTokからの支払いが非常に少ないことを考えると、ユニバーサルが楽曲の引き上げで収入を失うことをさほど心配していないことは明らかだ。
(forbes.com 原文)