銅は、2023年を価格上昇で終えたわずか2種類の金属の1つであり、もう1つは金だった。銅価格は、50日移動平均線が200日移動平均線を上回る上昇傾向シグナルである「ゴールデンクロス」を示しており、現在の価格は1トンあたり8400~8600ドル(約127万~130万円)の範囲で安定して推移している。
業界リーダーの一部は、今後数カ月以内に大幅な価格上昇を予測している。Ivanhoe Mines(アイバンホー・マインズ)の創業者でビリオネアのロバート・フリードランドは、銅価格は2024年中に1トンあたり9500ドル(約143万円)まで値上がりする可能性があると予測する。
この強気の予測は、今後予想される米国の利下げと、中国での需要急増を背景としている。中国では不動産市場が不安定であるにもかかわらず、銅消費は鈍化していないとフリードランドは強調する。実際、中国の2023年の銅輸入量は、史上最多となる2754万トンを記録した。
「中国の不動産市場の悪化は、誰もが知るところだ(中略)しかし、軍の需要、国家安全保障需要、軍事化に関連した需要は極めて高い」と、フリードランドは2月はじめ、ブルームバーグTVに語った。
こうした需要は、中国の不動産デベロッパーの低調な銅需要を補って余りあるものだと、筆者は考える。加えてロイターによれば、中国の不動産セクターも回復の兆しを見せている。新規住宅価格は過去2年半で最も急速なペースで上昇しているほか、土地使用権販売による政府の売上も23カ月ぶりに上昇した。
中国が最近、経済への1兆元(約21兆円)の資本注入に乗り出したことも、さらなる触媒として、銅需要をますます高める方向に作用するだろう。