ウクライナ国防省情報総局によると、ここ数カ月激しい戦闘が繰り広げられている東部ドネツク州のクリシチフカ村とアンドリーウカ村で、ロシア軍の第83空中強襲旅団がスターリンクを使用している証拠を掴んだという。
同局はその証拠として12秒にわたる録音音声をソーシャルメディアで公開。この音声では、ロシア語の話者が「スターリンクが機能しており、インターネットがある」と話している。
フォーブスがスペースXにコメントを求めたところ、同社は過去に発表した疑惑を否定する声明へのリンクを案内した。この声明の中で同社は、ロシア政府と取引をしたことはなく、スターリンク端末がロシアで販売されたこともなければ、同国に輸出されたこともないと主張し、ロシア国内でスターリンクは機能しないとしている。
数時間後、マスクは「我々の知る限り、スターリンクはロシアに直接的にも間接的にも販売されたことはない」とツイートした。
ウクライナ国防省情報総局のアンドリー・ユーソフ報道官は、ロシア兵がスターリンクを使用した「事例を録音」しており、ロシア兵のスターリンク使用は「組織的な性質を帯び始めている」と指摘した。
ウクライナ政府は、ロシア兵がどうやってスターリンクの端末を入手したと考えているかという質問にはコメントしていない。
2022年にロシアがウクライナに侵攻して以来、スターリンクは戦乱の続く同国で広範にわたって通信を提供するという重要な役割を果たしている。ウクライナ軍はスターリンクを使用してロシア軍に対するドローン(無人機)攻撃も展開しており、これについてはスペースXの首脳陣、特に同社創業者でCEOのイーロン・マスクが批判している。
スペースXのグウィン・ショットウェル社長は昨年2月、米連邦航空局(FAA)の会議で、スターリンクについて「決して兵器化する意図はなかった」と述べ、ウクライナがドローン攻撃にスターリンクを使用できないように措置を講じると発表。ウクライナ軍は引き続き通信目的でスターリンクを使用できるが、「攻撃的な目的」では使用不可とする考えを示した。その後、出版されたマスクの伝記では、マスクが「小さな真珠湾」になると考えたウクライナ軍の無人機攻撃を阻止する措置を自ら講じたことが明らかになった。
米CNNが最初に報じた抜粋によると、マスクは2022年にウクライナが計画していたロシア海軍への奇襲攻撃を止めるために、ウクライナ南部クリミア近くの通信を切断するよう、スペースXのエンジニアにひそかに指示したという。マスクは後に、ウクライナ政府からクリミアでスターリンク端末を起動するよう緊急要請を受け取った後、切断を指示したことを認めた。「もし私がウクライナの要請に応じていたら、スペースXは明確に重大な戦争行為と紛争激化に加担することになっていた」と、マスクはX(旧ツイッター)に投稿した。
(forbes.com 原文)