日本政府は2020年に「デジタル革命」の実現を掲げ、今回の構想が生まれた。スイスの国際経営開発研究所(IMD)が昨年発表した最新の「世界デジタル競争力ランキング」では、日本は主要7カ国(G7)の他の諸国から大きく引き離され、2019年以降、9つ順位を下げて32位となった。同ランキングは、経済や社会の変革に向け、デジタル技術を導入する準備ができているかについて64カ国を評価したもの。近隣のアジア諸国と比較しても、シンガポールは第3位、韓国は第6位、台湾は第9位、香港は第10位、中国は第19位と、日本は大きく遅れをとっている。
デジタルノマドビザを提供する国の数は新型コロナウイルスの流行にともなって急増し、世界中で数多くのリモートワーカーが自由な場所で独立して働くという考えを活用している。独立系人材を政府や企業に紹介する米MBOパートナーズが昨年発表した報告書によると、今日、1730万人の米国人労働者が自らをデジタルノマドと見なしている。この数は2019~2022年にかけて131%という爆発的な伸びを見せた後、昨年は前年比で2%増えた。
デジタルノマドの約3分の2(64%)は、ミレニアル世代(37%)とX世代(27%)が占める。1997~2012年に生まれ、すでに成人しているZ世代はデジタルノマドの5人に1人(21%)を占めている。
日本のような国にとって、自国民から仕事を奪うことのない労働者にある一定の期間、自らの収入でその国に暮らすことを認めるのは、極めて理にかなっている。
たとえ半年でも海外で暮らしたいと夢見るリモートワーカーにとっては、世界は思いのままだ。デジタルノマドビザは現在、カナダ、メキシコ、韓国、チェコ、スペイン、エストニア、ハンガリー、トルコ、アラブ首長国連邦をはじめ、世界十数カ国が提供している。
小泉龍司法務相は先週の記者会見で、デジタルノマドは「イノベーションを創出する源になる」と述べた。同相は、日本が海外からのデジタルノマドを獲得するために競争している国々の1つに過ぎないことを認めた上で「多くの国がデジタルノマドの誘致に力を入れている中、そういった人たちが日本でも働いてくれることを願う」と期待感を表した。
(forbes.com 原文)