──将来、人間とテクノロジーの関係はどうなるべきだと思いますか。理想的な関係とは?
マカフィー:私は、人間がテクノロジーと適切な関係を築けると信じている。人類史とは、内燃機関やインターネットなど、テクノロジー開発の歴史だ。不届き者がテクノロジーを悪用するリスクはあるが、地球が壊滅したり、全人類が戦争で殺し合って絶滅したりするような事態には至っていない。
テクノロジーとの関係において、人類は、かなり良い実績を築いてきた。完璧には程遠いが、人間は、非常にパワフルな新テクノロジーとどう向き合い、生活に取り入れるかを考えることに長けている。
政府も財政支援など、明確な役割を担っているが、どのテクノロジーを残し、誰がアクセスすべきかといった問題に介入すべきではない。銃は別だが、多くのテクノロジーは、何かを創造し、学ぶために使われる。弊害が生じたら、適切に対処するのがいい。
私はテクノロジーの進歩に大きな希望を抱いている。経済成長と資源消費量の減少を可能にしてくれるからだ。10年前、『ザ・セカンド・マシン・エイジ』で、テクノロジーがいかに繁栄をもたらすかを論じた。テクノロジーは今後も、私たちにうれしいサプライズを与え続けてくれるだろう。
アンドリュー・マカフィー◎マサチューセッツ工科大学(MIT)スローン経営大学院主任研究員、MITデジタル経済イニシアティブ共同創設者兼共同ディレクター。デジタル技術がいかに世界を変えるかを研究。最新著書『The Geek Way』(未邦訳)は英エコノミスト誌のベストブック2023に選出。