1人で考えることの限界に気づかせてくれた「相談」の力
「コンセプトは何? 顧客は誰?」居酒屋経営を思いつき、資金調達のために友人の親御さんに相談したところ親身になって聞いてくれたことが、人生の転機でした。
20歳前後の私は、人生のどん底にいました。兵庫県の田舎育ちで学歴もキャリアもない。大学に進学することができずに18歳で社会にでて、希望の職種への転職も叶わなかった私には、もう起業しか人生を打開する方法はない、飲食店の経営ならできるんじゃないかと誰にも相談せずプランを練っていました。
恥ずかしながら友人の親御さんからその質問をもらって初めてどんなお店をつくるのかを真剣に考え始めたのです。
相談して誰かと考えることで、視界が開けることを強く実感し、その後、周囲の友人から始め、相談を繰り返し、居酒屋は予約が取れない人気店になりました。そうやって相談のノウハウを蓄積することで、未経験にもかかわらず10を越える業界で成果を出すことができたのです。
自らの可能性を最大限に引き出すために
本当に相談なんて誰でもできそうなことで成果が上がるのか。まだまだ疑問は尽きないと思います。ですが、相談を駆使することで、最初の飲食店の立ち上げから丸亀製麺ハワイ店の海外進出、吉本興業のアドバイザー、宿泊や医療など活躍の幅を広げられたのはまぎれもない事実です。私に眠っていた可能性を花開かせてくれたのも、それが相談というスキルなのです。著書である山中氏のインタビュー記事をForbes JAPAN3月号「新しいリーダーを語ろう」に掲載しています。
やまなか・てつお◎1982年、兵庫県生まれ。高校卒業後、工場にて勤務。25歳でハワイにてコンサル事業を立ち上げたのち、2008年にトイトマを創業、代表取締役を務める。ヒューマンライフコードやバルニバービやダイブなど5社の社外取締役も務める。著書に『相談する力』がある。