経営・戦略

2024.02.10 11:15

「相談」が大きな事業に化ける「簡単な3つの相談」

川上みなみ
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2、 物事が行き詰まってからする「対処相談」
自分と違う意見が出てきたときには対処のために相談をしましょう。実際に、私が兵庫県の淡路島で街開発の一環であるホテル事業を行なっていた際の話ですが、金融機関に提出する事業計画を決めるときに、ホテルの平均稼働率の最低パターンをどの水準にするかという話がありました。何人かに相談し、平均稼働率の最低パターンを50%で設定しました。その後、山形県でホテル事業に携わったときに同じように最低平均稼働率を50%で提案しましたが、参加者から高すぎると反対されました。

そこで何人かに相談。淡路島のホテルは稼働率の平均が70%のため最低稼働率を50%で見積もっても実現可能だったのですが、山形は平均稼働率が70%に及ばない。当たり前と思われるかもしれませんが、地域によってホテルの稼働率の水準が異なることに、相談を重ねることで気がつかされました。もし山形のホテルで最低平均稼働率を50%にしていたら、実現性の低い「超楽観的」な予測として金融機関から事業計画を否定されてしまっていたかもしれません。

当初の私は淡路島という地理的条件やマーケットを無視し、数字だけを切り取ってしまっていました。この経験から、初めて取り組む地域で宿泊施設の事業計画を立てる際には「このエリアの最低平均稼働率はどの水準で設定しているのですか?」という質問ができるようになったのです。

このように自分の仮説に対する反対意見に「反論」できないときも相談のタイミングです。

反対意見に答えられない原因の多くは、自分が考えたこともなかった視点だからです。
「その視点に関してはまったく考えていなかったので詳しくお話しさせていただけませんか」と反対意見を提示した人に直接相談するのもひとつの方法だと思います。

ほかにも目安として「一週間」まったく行動できていなかったとき、考えてもネクストアクションがわからない状態のときは、すぐに相談のアポイントを入れてください。相談は遅すぎるよりも早すぎるほうがはるかにいいです。

3、 偶然を生かす「種まき相談」
予防でも対処でもない、偶然に相談できるチャンスがやってくるとき、それが「種まき相談」です。

たまたま出席した会食で、隣に座っている人との会話のなかで、自分の取り組んでいるテーマに相手が詳しいとわかったら?「最近こんなことをやっているんですよね」そんな糸口から相談に入ってみてください。昔からの知り合いにあったときも近況報告の流れで相談に移ってみたりと、相談する種を蒔くことで、思いもよらないアドバイスや人の紹介が生まれるかもしれません。

そのためには、常に自分が取り組みたいテーマや課題について考え、それを説明できる状態にしておくのが理想です。
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