アリババが2月7日に発表した2023年第3四半期(10~12月)決算の売上高は予想を下回り、純利益は前年同期比77%減という大幅な落ち込みを記録した。これを受け、香港上場に上場するアリババ株は約6%近く下落し、米国市場でも約6%下落した。同社は、250億ドル(約3兆7000億円)という超大型の自社株買いを発表し、市場を沸かせたが、その熱狂もすぐに冷めた。
調査会社86Researchのアナリストのワン・シャオヤンによれば、アリババの中核となるEコマース部門の収益成長率は、今後も1桁台にとどまる可能性があるという。その理由は、中国のEコマースのパイオニアであるアリババは、新興企業のPDDホールディングスとの熾烈な競争の中で、低価格商品の販売に軸足を移しているからだ。格安Eコマースアプリの拼多多(ピンドゥオドゥオ)とその海外版のTemuを運営するPDDは、経済が低迷する中、節約志向の買い物客に大幅な値引き商品を提供することで市場シェアを伸ばしている。
アリババは、12月に発足したばかりの新経営陣の下で、PDDに対抗する施策を進めているが、同社が失地回復を果たすのは、当分先のことになるとワンは述べている。「アリババは新たなCEOの下で、淘宝(タオバオ)とTモールの経営陣を刷新したが、さまざまなリソースを統合するには時間が必要だ」と彼女は付け加えた。
アリババは昨年11月に、クラウド事業の分離・上場計画を中止すると発表したが、経営陣は7日に同社が個別の資金調達を引き続き検討するが、厳しい市場環境を考慮すると急ぐ必要はないと述べた。同社の共同創業者のジョセフ・ツァイ会長はまた、Eコマースとクラウド部門により注力するため、実店舗などの非中核部門からの撤退に取り組んでいると説明した。
アリババは、2017年の取引で40億ドルと評価された百貨店の銀泰商業集団(インタイム・リテール・グループ)の売却を検討していると報じられている。この動きは、オフラインの店舗をテクノロジーで変革するというこれまでの野望を覆すものではあるが、アナリストはこの売却が理に適っていると述べている。
「この売却によって、アリババは経営資源を集中し、得意とするEコマース事業を強化することができる。また、売却される資産は損失を抱えているため、短期的な業績にもプラスに働くだろう」と香港を拠点とするエバーブライト・セキュリティズのケニー・ウンは述べている。
ウンは、アリババが、2024年後半に中国の消費市場全体が回復した場合には「より顕著な」成長を達成する可能性があると述べている。しかし、中国の1月の消費者物価は再び下落し、デフレ圧力が持続していることが示されており、厳しい業況が続いている。
(forbes.com 原文)