北米

2024.02.09 16:00

バイデン大統領の「記憶力低下」に米司法省がお墨付き、訴追見送りで

ジョー・バイデン米大統領(Shutterstock.com)

米司法省のロバート・ハー特別検察官は2月8日、バイデン米大統領の個人事務所や私邸から機密文書が見つかった問題の捜査で、大統領を刑事訴追しないと結論づけた報告書を発表した。現在81歳のバイデン大統領は「高齢と記憶力の悪さ」のため「意図的に文書を保持した」という主張で、彼を有罪にするよう陪審員を説得するのは難しいと、この報告書は述べている。

これにより、バイデン大統領は、自身の機密文書の取り扱いについて刑事責任を問われないことになった。

昨年、司法省の事情聴取に応じた大統領は、自身の副大統領としての任期がいつ始まり、いつ終わったのかを忘れており、単刀直入に「私はいつ副大統領ではなくなったのか?」と尋ねたという(バイデン大統領は、2009年から2017年までオバマ元大統領の副大統領を務めていた)。

バイデン大統領はまた、2017年のメディアのインタビューで、その2年前に亡くなった長男のボー・バイデンがいつ死んだのかを覚えていなかったという(ボー・バイデンは2015年5月に脳腫瘍で亡くなった)。

司法省の報告書はさらに、バイデン大統領がオバマ政権末期の2017年1月に、国立公文書館の職員にバインダーにまとめた書類を渡したことを「まったく覚えておらず」、それらの文書に機密情報が含まれていたこともまったく覚えていなかったと指摘している。

大統領はまた、アフガニスタンに関する機密文書の束をバージニア州の自宅で発見した後も「そのことを忘れていた」と報告書は指摘した。

バイデン大統領は、過去の政権内部の「アフガニスタンに関する議論」について話すときも記憶が「あやふやな様子」だったと報告書は述べている。彼は、アイケンベリー元駐アフガニスタン大使と「大きな意見の相違」があったと語ったが、実際は、元大使との関係は良好で、2009年にオバマ元大統領に送ったメモで、元大使とは意見が一致していると述べていた。

司法省のハー特別検察官は、バイデン大統領が私人としてホワイトハウスの機密文書を「故意に保持した」と考えているものの、大統領を刑事告発するまでには至らなかった。その理由は、大統領の記憶力の悪さにある。

報告書の中で彼は、81歳のバイデン大統領を「記憶力の悪い老人」と呼び「検察はバイデン大統領が、故意にその重罪に関与したとして、彼を有罪にするよう陪審員を説得するのは難しいだろう」と付け加えた。

バイデン政権は、起訴を見送ったハー特別検察官の判断を歓迎したが、大統領の記憶力についての司法省の評価については「正確でも適切でもない」と厳しく批判した。大統領の弁護人は、司法省に宛てた書簡で、この報告書が「何年も前の出来事を思い出せないというありふれた事柄を、偏見に満ちた表現で説明している」と主張した。

バイデン大統領は7日のニューヨークの選挙イベントで、ドイツのメルケル前首相のことを「コール首相(2017年に死去)」と言い間違えた。さらに、4日にもフランスのマクロン大統領を「ミッテラン大統領(1996年に死去)」と混同し、独仏首脳の氏名を立て続けに言い間違えたことで、話題をさらっている。大統領はまた、昨年5月に「孫娘が4人いる」と発言したが、実際は5人だ。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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