転職というのは、気力をくじかれやすいものだ。山ほどの不確実性や困難に出くわす。多くの人は、自分以外の何かに理由を求める。誰かのせいだ。宇宙の陰謀だ。自分を採用しない連中はばかだ。どんな言い訳であれ、自分自身を省みるよりも、他者を非難するほうが楽である。
しかし、多くの人が避けて通る「自省」を行ってみたとしたら? 自分のモチベーションやマインドセットを深く掘り下げることは、キャリアの方向転換を成功させる上で重要な役割を果たす。
心理学者のキャロル・ドゥエックは、マインドセットという概念を世に知らしめ、「固定マインドセット」と「成長マインドセット」という2つのタイプに大きく分類した。固定マインドセットを持つ人は、自分の能力を不変ととらえる。一方、成長マインドセットを持つ人は、自分の能力は適応可能であり、努力と継続的な学習によって向上させられると考える。
成長マインドセットを身につける方法を知りたければ、認知科学、特に左脳と右脳の優位性について掘り下げることで、より効果的に習得するための有益な知見を得られる。右脳と左脳がそれぞれどのように情報を処理し、意思決定にアプローチするのかを理解すれば、キャリアプランの構築と実行において戦略的優位性を獲得でき、求人に応募したり面接を受けたりする際の対策の軸となる。
私たちには「利き脳」があるが、問題解決時や、遊んだり人と交流したりする際には、左右両方の脳を活用している。自分の利き脳を理解することは非常に重要だ。また、相対した他者の利き脳を正確に把握する方法をマスターすれば、コミュニケーションを円滑にし、自分の価値をうまくアピールできるようになる。
論理と分析の左脳
脳の左半球は、論理的な推論、分析的思考、言語能力に関連している。転職者にとって左脳が活躍する分野は、意思決定への構造的なアプローチ、綿密な計画、細部へのこだわりだ。左脳のプロセスを活用すると、自分に現在備わっているスキルセットを分析し、求めるキャリアに応用できる能力はどれかを特定できる。希望する職種に自分のスキルセットが合致しているかどうか確認するため、自分の強み(Strength)と弱み(Weakness)、機会(Opportunity)と脅威(Threat)の分析(SWOT分析)を徹底的に行おう。
左脳型の人は、短期的・長期的な目標をざっくり把握することに価値を見いだす。徹底した探求によって、あらゆる可能性を探り出す。こうした分析的アプローチと基盤が、その場その場で最善の決断を下すのに役立つ。