働き方

2024.02.11

部下を潰す「有害な上司」、対抗するための5つの戦略

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部下にストレスしか与えない「有害な上司」は、驚くほど多い。これまでの人生のどこかの時点で有害な上司と働いた経験のある人は、もはや少数派ではなく、立派な多数派だ。

市場調査会社The Harris Poll(ザ・ハリス・ポール)が2023年10月に発表した調査によると、調査対象となった米国の労働者のうち、実に4分の3近くにあたる71%が、これまでに少なくとも一度は有害な上司に巡り合ったことがある。さらに、約3分の1に相当する31%は、今まさにそうした上司のもとで働いているという。

この調査は、現在企業で働いている米国の成人から抽出された1233人を対象に行われたものだ。また、「有害な上司」の定義については、「上司あるいは管理監督の任務にある者で、何らかの有害な行動を示した者」としている。具体的には、社会人としてふさわしくないふるまいや、仕事内容に過度に干渉するマイクロマネジメントなどだ。残念ながら、米国の労働者のうち、「横暴な上司のせいで、週末や休暇中にも仕事を強いられている」と回答した人の割合は、53%という驚くような数字に達している。

有害な上司の兆候は、目立たないものから、誰が見てもわかるものまで、実にさまざまだ。危険信号としては、理不尽な要求をする、他人のアイデアを自分のものにするといった行為のほか、大声で人を叱責する、不適切な言葉を用いるといった、容認しがたい言動も含まれる。

こうしたひどい状況に陥ったことがない(幸運な)人は、「そんな不健全な職場文化に、なぜ我慢している人がいるのだろう?」と疑問に思うかもしれない。だが、今の職場を去るのは、他人が思うほど簡単なことではない。給料や福利厚生が必要という理由で、辞めずにいる人も多い。また、愛社精神から、あるいは定年になるまで会社にしがみつきたいという理由で働き続ける人もいる。

有害な上司のもとで働き続けることは、その人のキャリアやウェルビーイングに悪影響を及ぼしかねない。黙って苦しむのではなく、今の仕事を辞めることなく職場の悪環境に対処する、次の5つの方法を検討してみよう。

1. 一歩引いて観察し、分析する

このプロセスの最初のステップは、上司の不健全な行動を認識することだ。次に、ひどい扱いを受けているのが自分だけなのか、それとも、同僚も同じ目に遭っているのかを確認しよう。上司がチームのすべての人に同じように接しているのなら、問題はあなたの側ではなく、上司にあることは明白だ。

次に、なぜ上司がそのような行動をとるのか、理由の分析を試みよう。マイクロマネジントの傾向があるなら、それは、初めて部下を持ったために、戦略的に思考することに慣れていないせいかもしれない。だが、言葉による暴力のレベルに達しているなら、背後にあるもっと深刻な問題を示唆しているとも考えられる。

2. 問題点を直接伝えてみる

自分の言動に自覚的な上司も多いが、そうではない者もいる。ゆえに、有害な上司への最もストレートな対策は、1対1で率直に相手と話し合うことだ。上司が本当の意味で有害な人物なのか、単に自信がないだけなのかを見極めるのにも、このアプローチは効果的だ。

あなたの上司が提案を受け入れ、もっと部下の力になりたいと試みるなら、これは良い兆候だ。だが、部下からフィードバックを受けても無視してしまうようなら、部下の側は、自分を守るために境界線を引き、助けを求めるタイミングだと判断すべきだろう。
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翻訳=長谷 睦/ガリレオ

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