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2024.02.09

「未来」を魅せるApple Vision Pro、普及水準は遠いが意味ある一歩

Apple Vision Pro

表示するグラフィクスの質は、肉眼から見える風景に近く、Digital Crownを回転させることが入ることができるイマーシブモードでは、自然の中でリラックスした感覚を味わうことができる。いわゆるVRと同様の体験だが、ディスプレイとコンテンツの質が圧倒的に高まっているため、たとえばMeta Quest 3のゲーム世界の中にいるような感覚ではなく、現実との錯覚を味わえる。

さらにこの体験にパーソナライズされた空間オーディオの体験が加わり、空間に配置されたアプリケーションと連動した明確な方向の感覚が、この体験を強化してくれる。

映像と音響の体験レベルが最上級であることは間違いない。

ユーザーインターフェースの新しい基準点

Apple Vision ProのOSであるVision OSの歴史はまだ始まったばかりだ。未成熟な部分も散見され、iOSなどから当然予想される機能でも実装されていないものがある。動作の不安定な機能もいくつか経験している。

執筆時点でも、すでにアップデートが配布されており、今後も細かなアップデートが続くことだろう。アップル自身もこのジャンルでは新参者であり、世の中の多くの人に問うほど成熟するまでには、多くの試行錯誤が必要だ。

グローバルでの販売が予定されている年末までに、米国での試行錯誤や不足する機能の追加実装が進むことだろう。すでに、空間を活用した新しいユーザーインターフェースの基準点となるレベルには達しているが、世の中に出たことでさらに洗練されるはずだ。

「操作対象を見つめ、指でつまむ動作をするだけで操作する」と言葉で表現するのは簡単だが、その視線入力の精度は高く、小さなドットでさえ指定は難しくない。手を使ったジェスチャーも、就寝モードで暗い帰国中の飛行機内でさえ(やや反応は悪くなったが)追跡してくれた。

アシスタントのSiriを通じた操作や音声認識を通じての文字入力は、昨今のAI技術の発達もあって極めてスムースで、ソフトウェアキーボードも方式こそ従前からある製品とは変わらないものの、的確なハンドジェスチャーの追従精度に助けられている。

自分が所有しているMacを見つめると接続のためのボタンが自動的に表示され、接続を指示するとその画面が空間に広がる。高画質なその表示は、サイズが大きく見えるためノート型の画面を見ているよりも見やすいぐらいだ。

既存アプリケーションは2Dの表示パネルを基本としているが、それらを空間に配置して操作できるだけでも、新しい可能性を感じられるだろう。
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編集=安井克至

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