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2024.02.14

誰でもAIを使える時代 ビジネスで優位性を築くために考えるべきこと

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OpenAIのGPT、マイクロソフトのBing AI、グーグルのGemini(Bard)に見られるように、民主化された人工知能は素晴らしいものになり得る。だが同時に、誰もが民主化されたAIにアクセスできるということは、競争上の差別化がほとんど生じないということを意味する。よってビジネスリーダーや起業家は、AIが約束する効率化やコスト削減の先を考える必要がある。

生成AIが一般公開される以前の2021年、ある論文が、それまでの技術が辿ったのと同様のAIのコモディティ化を予見した。論文の著者であるアブダビ経営大学院に所属する研究者たちは、ニコラス・G・カーが「ITの可能性と普及は増大したが、その戦略的重要性は時間とともに低下している。AIもITと同じ運命をたどるだろう。実際、AIのコモディティ化は既に始まっている」と記述したことを指摘した。

AIで競争力のある差別化を達成し、コモディティ化の先を進み続けるためには、それに伴うビジネス変革が必要だと、研究者たちは述べている。「非常に強力なトップダウンのリーダーシップモデルが必要です。明確なAIの目標を設定し、従業員を鼓舞して、AIの旅を推進するよう促すのです」。

FEインターナショナルのCEOであるトーマス・スメイルは、大局的な考え方として、「AIを単なる効率化のツールとしてではなく、戦略的変革の触媒として捉えることです。それが新しい市場と革新的なビジネスモデルへの扉を開くのです」と語る。

RELEXラボのトミ・ヴィルカノ所長は、2023年に全世界で1000億ドル(約15兆円)を超える投資が行われ、すべての企業VC投資の24%がAIに向けられたことは、「AIが新しいビジネスの創出を促進していることを明確に示している」という。「こうした新規ビジネス形成は、たとえばアート、エンターテインメント、そして人間の創造性の世界を再創造しているRunway(ランウェイ)のような企業に見られる、全く新しい製品や体験の開発から急増しています」。

スメイルも、AIは「ビジネス形成の状況を劇的に作り変え、従来の分析方法を超越しています」と同意する。「この技術はスタートアップに、市場の動きや消費者の行動について、これまでにない洞察を提供し、新たなベンチャー企業を素早く市場で戦える競争者に変える力を持っているのです」。
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翻訳=酒匂寛

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