欧州

2024.02.08 11:00

ロシアの凶悪ドローン生産、ウクライナの攻撃で停滞した可能性

一部の目撃者はZOMZがウクライナ軍のドローンに攻撃されたと主張したが、それは否定された。タス通信は「予備データによると、爆発の原因はドローンではなかった」と報じた。

ZOMZでは2022年6月にも原因不明の火災が発生して被害が出たが、昨年8月の爆発は規模が違った。爆発は花火会社ピロロスが使用していた倉庫が原因とされた。

濡れ衣か

ピロロスでは以前にも安全上の問題があった。2019年にベラルーシの首都ミンスクでの花火大会で事故が発生し、観客1人が死亡、10人が負傷。原因は同社にあり、従業員2人が逮捕された。

ピロロスはロシア国防省に花火を納入する主要サプライヤーであり、1997年に催された、豪華なモスクワ建都850周年記念式典やその他多くのイベントに花火を提供してきた。だが、ロシア紙イズベスチヤによると、国防省への納品が遅れたとして2300万ルーブル(約3700万円)の罰金が科せられ、昨年3月の破産申請時にはさらに3件の請求が検討されていた。

CEOのセルゲイ・チャンカエフは逮捕されたが、ZOMZでの爆発はピロロスとは無関係だと否定。倉庫に爆発物はなく、爆発は実際には別の建物で起こったと主張した。

Molfarは、爆発の直前にドローンがZOMZを攻撃したことを示唆する目撃者のコメントをネット上の掲示板で見つけた。

「国内の軍事施設への攻撃についての情報を隠すロシアの慣行を考慮すると、ザゴルスク工場の敷地内での爆発はウクライナ側による計画的な行動だったと推測できる」とMolfarの広報担当は筆者に語った。

爆発は小型ドローンでは説明できないほどの規模だったが、施設にある爆発物を狙う、つまり「起爆装置を持ち込む」ことでそれが可能になったのかもしれない。
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翻訳=溝口慈子

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