北米

2024.02.08 08:00

AI製「偽バイデン」の電話、発信元はテキサス州企業 犯罪として捜査

米大統領執務室で電話をかけるジョー・バイデン大統領(HUM Images/Universal Images Group via Getty Images)

米大統領執務室で電話をかけるジョー・バイデン大統領(HUM Images/Universal Images Group via Getty Images)

人工知能(AI)を用いて生成したとみられる偽のジョー・バイデン大統領の声で、米大統領選の予備選に投票しないよう呼びかけるロボコール(自動音声電話)がニューハンプシャー州の有権者にかかってきた問題で、同州のジョン・フォルメラ司法長官は6日、電話の発信元をテキサス州に本社を置くライフ・コーポレーションと特定したと発表した。

フォルメラ州司法長官は記者会見で、ライフ・コーポレーションに対し、選挙法に違反する行為を直ちに停止するよう命じたと説明。刑事事件として捜査を行っていることを明らかにした。

捜査当局はトレースバック技術を用いて発信元を追跡し、ウォルター・モンクが経営するライフ・コーポレーションを特定した。また、同じくテキサス州のリンゴ・テレコムを発信元プロバイダーと特定。同社にも連邦通信委員会(FCC)から違反行為に対する停止命令が出されたという。

ロイター通信によると、リンゴ・テレコムは刑事捜査の通告を受け、ライフ・コーポレーションへのサービス提供を中止した。

ニューハンプシャー州司法当局によれば、問題のロボコールがかけられた件数は5000~2万5000件に上るとみられる。1月23日の予備選の2日前に有権者にかかってきた電話の自動音声は「投票すれば、ドナルド・トランプを再選させるという共和党の試みを成功させるだけだ」と主張するものだった。

フォルメラ司法長官は、投票抑圧を禁止する法令や連邦法などに基づき、「一連の電話をかけた個人または団体は、民事・刑事の両面で処罰の対象となる」と言明。「全米の法執行機関は超党派で団結し、選挙制度を揺るがすあらゆる試みに協力して対抗する」「自由で公正かつ安全な選挙を維持することを約束する」と述べた。

民主党は党候補指名争いの初戦をサウスカロライナ州予備選と決めていたため、1月に行われたニューハンプシャー州予備選にバイデンは参加していなかった。しかし、民主党支持者の間で、投票用紙に記載のないバイデンの名前を書き込んで投票するよう呼び掛けが広がり、バイデンが圧勝した。

音声生成AIを用いたとみられるロボコールをめぐり、AIが大統領選にどのような影響を及ぼすのかという懸念が再燃している。問題のロボコールが発覚する1週間前、世界経済フォーラム(WEF)は、AIが生成する広告や誤情報が選挙を混乱させ、世界的なリスクをもたらす恐れがあると警告していた。

forbes.com 原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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