これが起きた時期については、まだ科学的に解明されていない。現在、プレートテクトニクスによって絶えず地殻はリサイクルされ、岩石の記録は破壊されている。30億年より古い時代の岩石層は極めて稀で、現在知られているのは辺境地域にある数カ所にとどまっている。
プレートテクトニクスで形成された、これまでで最古の岩石は25億年前にさかのぼるものだ。プレートの動きを再現できるのは、過去8億年間に限られる。
今回の最新研究では、32億7000万年前の岩石に含まれるカンラン石粒子を分析した。その結果、当時すでにプレートテクトニクスが機能していたことを示唆する証拠が見つかった。
南アフリカのバーバートン・グリーンストーン・ベルトは、世界最古級の地質構造の1つで、41億5000万~33億年前の約8億年間にわたるさまざまな時代に形成された岩石で構成されている。名前が示すとおり、元は堆積岩だった珪岩(変成岩)と、古代の海洋地殻の残骸と考えられている、緑色がかった玄武岩質岩が連なっている。
カンラン石は、玄武岩に含まれる一般的な鉱物で、マグマから結晶化によって直接形成される。今回の研究をまとめた論文の筆頭執筆者で、中国科学院の地球化学者ドンジャン・オーヤンと研究チームは、カンラン石結晶の起源を再現するために、カンラン石に含まれる酸素と鉄の含有量を分析した。
化学組成の分析結果に基づき、このカンラン石が、現代のプレート沈み込み帯に似た、圧力と融解を受けた岩石の内部で形成されたことを、研究チームは明らかにした。これは当時、地殻の移動がすでに始まっていた可能性があることを示唆している。研究では特に、現代の火山弧環境について言及している。海洋プレート(海洋地殻とその下の上部マントル)が別のプレートの下に沈み込む地帯では、融解したプレートが地表の火山活動に供給され、弧状に連なった火山が形成される。
プレートテクトニクスは、現在のところ地球上でしか観測されておらず、惑星を居住に適した環境にするのに不可欠な要素である可能性がある。今回の最新の研究結果と過去の研究を総合すると、約38億~36億年前の地球で何かが起き、動かない地殻からプレートテクトニクスに移行したことが示唆される。
今回の研究論文「Light oxygen isotopic composition in deep mantle reveals oceanic crust subduction before 3.3 billion years ago」は、科学誌Nature Communications Earth & Environmentに掲載された。論文はここで閲覧できる。
Hasterokの研究チームが2022年に作成した構造プレートの地図は、学術誌Earth-Science Reviewsに掲載されている。
学術誌Earth-Science Reviewsで発表されたMerdithのチームによる2021年の研究の一環で作成された大陸移動のアニメーション。
(forbes.com 原文)