食&酒

2024.02.12

日本料理に合う究極のシャンパーニュを追い求める

POMMERY CUVEE LOUISE 2005

Forbes JAPAN本誌で連載中の『美酒のある風景』。今回は2月号(12月25日発売)より、「「キュヴェ・ルイーズ」。特に日照時間の長いルイーズ専用区画のブドウのみを使用し、最低8年間は瓶内熟成させるという希少な1本だ。


シャンパーニュには出荷前、澱を取り除くデゴルジュマンと呼ばれる作業があり、その際に甘みの調節として糖分を含んだリキュールを加える。これをドザージュというが、規定では辛口であるブリュットの糖分量は1Lあたり12g以下と定められている。このブリュットのなかでも一切の糖を加えないブリュット・ナチュールを1874年につくったのが「ポメリー」。それまで甘くて濃厚な味わいが主流だったシャンパーニュの世界において、初めてすっきりとした辛口をつくったことで知られる革新的なメゾンだ。

「キュヴェ・ルイーズ」はその「ポメリー」にあって、メゾンの伝統や遺産を継承した最上級シャンパーニュ。創業者のマダム・ポメリーの娘の名を冠したこのシャンパーニュは、ブドウの出来が極めて良かった年にしかつくられない。3つの厳選されたグラン・クリュ(特級畑)のなかでも、特に日照時間の長いルイーズ専用区画のブドウのみを使用し、最低8年間は瓶内熟成させるという希少な一本である。

この「キュヴェ・ルイーズ」について、「日本料理とすごく合うんです。シャルドネとピノ・ノワールのブレンドが、出汁や日本の繊細な食材の味わいをぐっと引き立ててくれるんですね」と語るのは「京都吉兆」で3代目となる総料理長を務める徳岡邦夫だ。現在63歳である徳岡は、30年以上前からシャンパーニュと日本料理の相性の良さに注目し、「京都吉兆」のプライベート・キュヴェをつくることも目標に、日本でのシャンパーニュ市場の拡大に努めてきた。そして、ここ数年温めていた想いを、「ポメリー」と長期にわたるコラボレーションを実施することで結実させようとしている。

「ここ数年、世界の食は大きく変わりました。ヘルシー志向により肉から魚や野菜へシフトしているし、和食ブームも手伝って、フランス料理のシェフたちも日本料理の影響を大きく受けています。となると、シャンパーニュの味わいも、もっと進化してよいのでは。そう考え、日本料理に合う究極のシャンパーニュをポメリーとともに追求する、合計4年間のプロジェクトをスタートさせました」

まずその第1弾として23年10月に行われたペアリング・ディナーでは、各界の識者を招いて活発な意見交換がなされたという。かつて甘口からブリュット・ナチュールを誕生させた「ポメリー」が、日本料理と対峙することで何を見出すだろうか。新たなるマリアージュを期待したい。

ポメリー キュヴェ・ルイーズ 2005


容量|
750ml
品種|シャルドネ64%、ピノ・ノワール36%
価格|34100円(税込希望小売価格)
問い合わせ|ヴランケン ポメリージャパン https://pommery.jp/
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写真=福森公博 文・構成=秋山 都

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年2月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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