米国心臓協会のHypertension(高血圧)誌に発表された研究によれば、チルゼパチドを10ミリグラム投与した参加者の収縮期血圧の低下が最も大きく(10.6ポイント)、次いで15ミリグラム投与者(8.0ポイント)、5ミリグラム投与者(7.4ポイント)の順となった。
しかし、研究者たちは、血圧の低下がチルゼパチドの効果だけによるものなのか、それとも体重減少や食生活の変化が影響したのかは、確信が持てないとしている。
チルゼパチドとは、製薬会社イーライリリーが製造する糖尿病治療薬マンジャロと肥満治療薬ゼップバウンドに含まれる、有効成分の薬剤名だ。
収縮期血圧とは血圧測定の1番目の数値で、心臓が収縮したときに血管壁にかかる圧力を測定したもの(いわゆる「上」の血圧)。そして拡張期血圧は収縮が終わり血液が心臓に戻るときの圧力を測定したものだ(いわゆる「下」の血圧)。
イーライリリー社が資金提供したこの研究では、過体重または肥満患者で、血圧が正常またはコントロールされた高血圧の範囲にあり、かつ2型糖尿病を発症していない600人の被験者を対象に、9カ月間この薬が投与された。
肥満と高血圧には強い関連性があり、一次性高血圧(本態性高血圧)にある人の65%から78%が肥満であるという調査結果もある。
研究者らは、脳卒中や心臓発作などの心血管症状への影響をさらに理解し、患者が使用を中止した場合に血圧がどうなるかを判断するためには、この薬の長期的効果に関する追加研究が必要であると考えている。