驚くことではないが、中国政府はこうした状況に陥った責任を破綻しつつある不動産開発企業に押し付けている。確かに、不動産開発企業の経営者は非難されても仕方がない。当局から熱心な支持を得ていた頃、大手の中国恒大集団(エバーグランデ)や碧桂園(カントリ・ガーデン)をはじめ、不動産開発企業は積極的に金を借り入れた。疑わしいプロジェクトを進め、金は使いたい放題だった。だが、現在の悲惨な状況の責任の大部分は、最初から管理に失敗した中国政府にある。
中国政府の最初の過ちは、住宅用の不動産開発をあまりに積極的に、しかも長く推し進めたことだ。1900年代末と2000年代初めには、たとえば地方政府の支援があったり、開発企業と住宅購入者どちらも借入しやすかったりと、住宅開発を支援する理由は十分にあった。中国は切実に住宅を必要としていた。
だが、住宅の在庫が需要に追いついても、当局は積極的な支援を継続した。そうしたかったのは間違いない。不動産開発は成長を示す数字を押し上げ、政府の顔を立てた。だが、米議会調査局の試算によると、不動産開発が中国経済の30%に達したとき、維持不可能な状態になったことは明らかだったはずだ。不動産開発企業は依然として緩い条件で借入し、ますます疑わしいプロジェクトに手を伸ばしていた。
2020年に中国政府がようやく不動産部門が持続不可能であることに気づいたとき、2度目の過ちを犯した。もちろん、問題を認識したこと自体は間違いではなかった。だが、それに対する厳格な反応は誤りだった。それまで提供していた支援を徐々にやめて不動産開発企業と住宅購入者に調整する時間を与える代わりに、政府は優先順位を急に変えた。かなりの開発物件を抱えていた企業はほぼ即座に立ちいかなくなり始め、最も手広く展開していた恒大集団は2021年半ばに真っ先に破綻が危ぶまれた。