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2024.02.06 12:00

テスラの株、9カ月ぶりの安値に マスクの言動がまたも「暗雲」に

Frederic Legrand - COMEO / Shutterstock.com

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テスラの株価は米国時間2月5日に昨年5月以来の最低水準に下落した。イーロン・マスクの電気自動車メーカーに対する2024年の厳しい売りが続いている。他の大手技術株と比べて、テスラの勢いは失速している。

テスラの株価は一時6%安の175ドルまで下落したが、市場終値では3.7%安とわずかに回復した。このため低迷する自動車業界の巨人の年初来の損失は27%に達した。

これにより、テスラはベンチマークとなるS&P 500指数に上場している株式の中で最悪のパフォーマンスを記録した。

このテスラの2024年の下落は、四半期の利益と収益でウォールストリートの予測を下回った収益発表後の急落で始まったが、最新の売り動向は、マスクがテスラ内で大幅に強化された権力を求め、X上で右翼的主張を吐き出していることを巡る論争が激化した流れと一致している。

テスラの取締役会がマスクを統治する能力についての懸念が高まったのは、米国時間2月3日のウォール・ストリート・ジャーナルの報道で、マスクとテスラの取締役メンバーがいっしょに違法薬物を摂取したと報じられたことで頂点に達した(マスクは以前、彼の薬物テストでは「微量」の薬物やアルコールさえ検出されていないと主張していた)。

ウェドブッシュのアナリスト、ダン・アイブスはフォーブスの取材に対し、ウォール・ストリート・ジャーナルに掲載された疑惑はテスラにとっての最新の「暗雲(Black Cloud)」であり、5日の株価下落の一因はこのスキャンダラスな報道にあると語った。

テスラの株式は、商業航空機の安全性に関する論争の中で2024年になって21%下落したボーイングや、会計詐欺の疑いで調査を受けている農業大手のアーチャーズ・ダニエルズ・ミッドランド(株価は21%下落)などよりも、今年さらに大きく下落している。

良くも悪くも、テスラの株価は長い間、気まぐれなマスクの思いつきの影響を受けてきた。たとえば最も目立つのは、マスクが現在Xとして知られるソーシャルメディアプラットフォームの購入を資金調達するために2022年にテスラの65%を売却したケースだ。テスラの2024年の運命は、昨年急上昇した他のテック株たちよりもはるかに悪い。アップルもテックグループの中では下落しているが、その下落率は2%とはるかに穏やかなものだ。アップルとテスラだけがテックグループの中では2桁の成長を成し遂げられていない。ファクトセットによると、テスラの利益は2022年から2023年にかけて23%減少し、アナリストは今年もマイナス成長を予測している。

マスクは現在世界第2位の富豪であり、その純資産は1950億ドル(約28兆9000億円)である。テスラ株の下落と、先週デラウェア州判事が510億ドル(約7兆6000億円)のテスラ株式報酬を取り消したおかげで、マスクは2023年末時点より約550億ドル(約8兆2000億円)も貧しくなっている。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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