政治

2024.02.06 08:00

「潜水艦発射ドローン」は、台湾有事抑止の鍵になるか

Getty Images

仮に、バージニア級潜水艦の発射管の半分に、各6機のドローンを配備でき、それらが一定期間にわたって飛行を継続できるとしよう。この際、12隻の潜水艦があれば、水陸両用作戦の全期間にわたって、台湾海峡を継続的に監視することが可能になる。
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有人潜水艦の補助として、同様の発射能力をもつ無人潜水艇を投入するという選択肢もある。

このような「消耗品」システムの設計コンセプトはすでに存在している。中国の電波妨害攻撃に対抗できる高周波通信リンクを備えたものだ。このシステムは消耗品であり、抗堪性を最大化するための設計特性を組み込む必要はない。中国側の破壊手段と比べてはるかに低コストであるため、コスト交差比率(cost-exchange ratio:攻撃アプローチに関わるコストと、対抗措置に関わるコストの相対的な比率)の面でも魅力的なものになるだろう。

こうした安価なシステムを大量に配備することで、メッシュネットワークが遮断された場合にも、自己回復機能をもたせることが可能になり、ネットワーク全体としての機能を維持することができる。
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加えて、少なくとも一部のドローンは、重要度の高い標的の正確な位置と特性を、さまざまな潜在的利用者に送信できるだろう。

関連技術の開発に取り組む企業のなかには、Elbit America(エルビット・アメリカ)の子会社であるSparton Corporation(スパートン・コーポレーション)がある(情報開示:エルビットは、著者にコンサルティングを依頼するクライアントである)。このような戦術に応用可能な技術を有する企業は他にもあるが、スパートンは、海中(潜水艦または固定式海底発射装置)から使い捨てペイロードを発射することに関して、ほとんどの企業よりも多くの経験を持っている。

米シンクタンクのランド研究所は、2020年に「紛争環境における低コストで再利用可能な無人航空機の運用」と題した報告書を発表し、このなかで、同所の「プロジェクト・エアフォース」の一環として、類似の運用コンセプトについて論じた。この報告書では、潜水艦がいかに耐久性のあるメッシュネットワークに貢献し得るかについては触れていない。しかし潜水艦は、有事の際に台湾海峡付近でオペレーションを行うための理想的なプラットフォームだ。

攻撃型潜水艦から発射される使い捨てペイロードの使用は、紛争の誘発ではなく抑止を目的としている(これは、米軍がこれまで水陸両用作戦から台湾を防衛するために実施してきたその他すべての軍備と同様だ)。だが、万一戦争になった場合、これは中国軍がほとんど対抗手段をもたないコンセプトのひとつと言える。

forbes.com 原文

翻訳=ガリレオ

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