経済の持続的成長、イノベーション創出を目指し、社会課題解決とビジネス創出を軸に大企業、スタートアップ、NPOの「新結合」が生まれている。経済同友会、インパクトスタートアップ協会、新公益連盟は2023年7月、連携協定を締結。企業とソーシャルセクターがもつ資源を有効活用し、国内外のさまざまな社会課題の解決を目的とした協定である。
同年9月には、それぞれの参画者である経営者、代表理事などが250人近く集う会合「共助資本主義マルチセクター・ダイアローグ」を開催。実効性のある企業とソーシャルセクターの連携についての対話が行われた。
経済同友会副代表幹事・髙島宏平(オイシックス・ラ・大地代表取締役社長)、インパクトスタートアップ協会代表理事・米良はるか(READYFOR代表取締役CEO)、新公益連盟理事・小沼大地(NPO法人クロスフィールズ代表理事)の3人にその可能性について聞いた。
髙島宏平(以下、髙島):「共助資本主義」は、代表幹事・新浪剛史(サントリーホールディングス代表取締役社長)の発案により23年4月から掲げている提言です。
『共助資本主義〜「企業のパーパス」と「共感」を起点とした「アニマル・スピリッツ」の覚醒〜』と題して、民間企業が社会課題の解決に向けて「共助」の取り組みに参画し、新たな需要やイノベーションの創出とウェルビーイングを実現する経済社会を提唱しています。
今、同モデルを掲げて、インパクトスタートアップ協会や新公益連盟と連携する背景のひとつには、「社会課題の多様化」があります。さまざまな解くべき課題が顕在化し、かつ、グローバルイシュー化するなかで、従来のような公助だけでは解決が難しいことが増えてきた。それを共助で、と考えた際に、これまで取り組まれ、結果を出し始めているNPOやインパクトスタートアップの方々と共に手を組むことで、社会課題解決ができ、かつ、事業機会の創出にもなるのではないかという点です。
もうひとつは、グローバルで議論が進んでいる「行き過ぎた資本主義の是正」の動き。日本は行き過ぎているとは思わないですが、世界的に見ると大きな格差を生み、社会不安を生んでいることに対して、資本主義自体の新たな概念を生むための議論がなされています。日本政府も同様です。こうした文脈のなかで、日本的な新しい資本主義のあり方とは何か、という答えのひとつとして、NPO、スタートアップと連携しながら、資本主義の力で社会課題解決に寄与することができるのではないかと思い、連携をしました。