トランプは、2日のFOXニュースのインタビューで、バイデン政権が発行を検討中の「デジタルドル」が非常に危険で「人々の銀行口座から突然お金が消えてしまうような事態を引き起こす可能性がある」と主張した。
この発言は、彼が先月のニューハンプシャー州の演説で行った同様の主張と呼応するものだ。トランプはその演説で「中央銀行によるデジタル通貨の創設を絶対に許さない」と語り、その計画を「自由に対する危険な脅威だ」と呼んでいた。
一方、トランプは個人的にデジタル通貨に投資し、300万ドル相当の暗号資産を保有するほか自身のNFTのトレーディングカードも発行しているが、大統領の在任中は暗号資産業界が「非常にボラティリティが高い」と批判していた。しかし、共和党は暗号資産業界に融和的な規制を提案しており、トランプが大統領に返り咲けば、この業界に懐疑的なバイデン政権よりも暗号資産業界に寄り添う当局者を任命する可能性が高い。
連邦準備制度理事会(FRB)はデジタル通貨について明確な姿勢を示していないが、民間企業が発行する暗号資産が爆発的に増加し、政府のコントロールが効かない通貨システムに変貌する懸念が高まる中で、デジタルドルの発行の可能性を探っている。
インタビューの中でさらにトランプは、人工知能(AI)に話を移し、AIが「おそらくあらゆるものの中で最も危険なものだ。この問題を本質的に解決するためのソリューションは存在しない」と語った。彼は、AIと呼ばれるものはとても恐ろしい」と述べ、最近見たという、自分が「決して支持していない」製品を宣伝するための偽のスピーチに言及した。
世界11カ国がCBDCを発行
トランプはニューハンプシャー州での演説で、中央銀行によるデジタル通貨の創設を「政府の専制政治」になぞらえ、連邦政府に「あなたのお金を奪う能力」を与えることになると警告した。バイデン大統領は、2022年の大統領令の中で、政府機関にデジタル資産を規制するための政策提言と潜在的枠組みをまとめるように命じていた。FRBのパウエル議長は昨年、連邦議会に対し、中央銀行によるデジタル通貨開発のプロセスには数年がかかる可能性があり、その実現可能性については決定しておらず、そのようなシステムに対する国民の意欲を評価中であることを強調していた。トランプはニューハンプシャー州での演説で、かつての対立候補だった起業家のビベック・ラマスワミが中央銀行のデジタル通貨の危険性を警告したことを称賛した。共和党の指名争いから撤退したラマスワミは、トランプの支持を表明しており、大統領選に向けたトランプの伴走者候補として名前が挙がっている。
世界ではナイジェリアやカリブ海諸国などの11カ国が、すでにCBDCを発行しており、現金の使用量の激減やインフラコストの削減、セキュリティの向上などをその利点に挙げている。さらに100カ国以上がこの選択肢を模索している。
(forbes.com 原文)