チェコの英字新聞エクスパットは、同国政府が先月10日、大麻規制法案の草案を提出したと報じた。ところが、同法案は当初想定されていた大麻市場の枠組みについては触れていない。
欧州の中でも、チェコは大麻規制に積極的に取り組んでいる国だ。娯楽目的の使用は依然として違法だが、個人使用のための大麻所持は2010年に解禁され、2013年には医療用大麻が合法化された。
同国は2022年後半、合法市場の設立も含め、成人用大麻の合法化に向けた法案作成に取り組んでいることを明らかにした。ところが今回の政府発表によると、合法化は大麻の所持、自家栽培、大麻社交クラブの設立に限定されるようだ。
大麻合法化を主唱する海賊党は、今回の法案は「妥協案」であり、昨年11月から作業部会で作成が進められている法案への追加事項について交渉する用意があるという。
チェコ政府はさまざまな対策を通じて麻薬依存症に対処しようとしており、この法案はその包括的な計画の一環だ。これには中毒性物質をその危害レベルに応じて規制することや、依存症のリスク予防と危害の軽減について、科学的に証明された方法に基づく政策を承認することなどが含まれる。
大麻草案はまだ最終決定には至っておらず、議会に提出されていないが、合法的な市場を創設することなく大麻を合法化するという修正案については、早くから批判の声が上がっている。
チェコの大麻関連の団体は共同で、合法市場に対する規制がないことに困惑を表明した。その上で、規制市場を設けないまま大麻を合法化することは部分的な解決策に過ぎないと警告。自己栽培や大麻社交クラブを認めることは正しい方向への重要な一歩だが、現在の抑圧的な方法に起因する重要な課題、すなわち違法な生産者や売人の利益が実質的に増大し続けているという問題に、議会が取り組んでいないと指摘した。