キリスト教民主同盟・人民党は大麻栽培規制の必要性を認める一方で、利用者が増加する可能性や中毒の予防・治療計画への支出については懸念を表明している。しかし、政府で麻薬問題を担当するジンドジッチ・ボボジル委員は、規制によって生産、流通、販売を管理することができ、防止の効果が上がるとともに、税収が得られる可能性もあると一貫して主張している。
だが、国内の政治力学が絡むこの計画が成功するかどうかという問題以上に、大麻市場を合法化する上で、欧州連合(EU)の法的な壁を過小評価してはならない。EU加盟国に違法薬物取引の排除を義務付ける1985年の第一次シェンゲン協定と、違法薬物取引に関する犯罪行為と罰則に関する最低条項を定めた2004年のEU枠組み決定2004/757/JHAにより、既存のEU法の枠組みでは、加盟国は合法的な成人用大麻市場を設立することができないのだ。
ドイツは当初、合法的な大麻市場の設立を計画していたが、欧州委員会の反発を受け、提案を修正せざるを得なくなった。実際、EU加盟国で個人使用の成人用大麻を合法化しているマルタとルクセンブルクでは、合法市場が確立されていないために大麻使用を合法化することができたという経緯がある。
EU内で合法的な娯楽用大麻市場の創設を可能にする特定の国際的な法的道筋もあるが、慎重に評価する必要がある。
(forbes.com 原文)