イタリア・イブレア
北イタリアの町イブレアではとりわけ一風変わった方法で春の到来を祝う。幾つかのチームに分かれてオレンジを投げ合うのだ。「オレンジ合戦」は、地中海周辺で最大の食べ物ファイトとして知られている。町の人々を飢えで苦しめた男爵を粉屋の娘が殺し、民衆蜂起につながったという「中世の暴政からの解放」を伝える逸話にちなんだ祭りで、古代の儀式にも基づいている。世界一香りのよいカーニバルだと言っても過言ではないだろう──少なくとも最初の数時間は。
カーボベルデ・ミンデロ
アフリカの群島国家カーボベルデ・サンビセンテ島の主要都市ミンデロで開催されるカーニバルは、今回紹介する中でも小規模な祭りだが、祝賀ムードは負けず劣らず盛大だ。地元出身の著名歌手セザリア・エヴォラいわく「ミンデロはブラジリムだ」──色彩、音楽、伝統にあふれ、小さなブラジルのようだという。カーニバルにも明らかなブラジルの影響がみられる。人気の高い「マンディンガ」のパレードは、戦士に扮したり羽根の冠をかぶったりした人々が、お祭り気分に風刺と社会批判を織り交ぜたパフォーマンスを披露する。メインイベントは公式カーニバルグループのパレードと、サンバスクールや舞踊団によるコンテストである。
ハンガリー・モハーチ
ハンガリー南部の町モハーチを毎年2月に6日間にわたって占拠する「ブショー」は、大きな毛むくじゃらの外套と恐ろしい木彫りの仮面を身に着けた不気味な見た目の仮装集団だ。500人を超えるブショーは手漕ぎ舟でドナウ川からやってきて、奇抜な馬車や原動機付きの乗り物で街を練り歩き、踊る。ブショーたちが中央広場で大きな焚き火に火をつけ、冬の終わりを象徴する棺を燃やすと、町中に音楽が鳴り響き祝宴が始まる。クロアチア系少数民族のショカツ人が伝承してきた祭事だが、今では年齢も文化的背景もさまざまな地元の人々が祝う多様性のある祝祭となっており、子どもたちの仮装コンテストや仮面職人の作品展示も行われる。
(forbes.com 原文)