米ニューオーリンズのマルディグラや、ブラジル・リオデジャネイロのカーニバルを知っている人は多いだろう。だが、規模はずっと小さくとも、伝統のカーニバルを祝う都市や町は世界中にある。キリスト教普及以前の民族的宗教における晩冬の祭りを起源として欧州で始まり、カトリックの四旬節(復活祭に先立つ40日間の禁欲期間)を前に肉を食べて楽しむ最後の祭典として世界に広まったカーニバルは、いずれもにぎやかで、華やかで、伝統に彩られている。その多くは、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されている。
スロベニア・プトゥイ

スロベニア・プトゥイのカーニバルで、春を呼び込む踊りを踊る「クレント」(Aleš Kravos via Wikimedia)
スロベニア最古の町といわれるプトゥイでは、羊の毛皮をまとい、リボンで飾られた巨大な仮面をかぶって腰にカウベルを下げた男たちが、通りを練り歩き、見物人らを囲んで踊る。この男たちは「クレント」と呼ばれ、仮面を通じて精霊の世界とつながり、踊りで冬を追い払って豊穣を願うのが習わしだ。
町の
公式行事として64回目となる今年は、2月3日から13日までさまざまなイベントが行われ、最後の週末にはパレードが開催される。
ブラジル・オリンダ
ブラジル北東部の町オリンダのカーニバルは、早い年には12月中に始まるが、佳境を迎えるのは四旬節直前の週末だ。先住民や奴隷貿易でこの地に連れてこられたアフリカ人の影響を色濃く反映しており、主役はサンバながら「フレヴォ」と呼ばれるアフリカ系ブラジル音楽の人気も高い。人々は思い思いの衣装で夜明けまで踊り続け、巨大な張り子の人形を担いで街中をパレードする。
2024年の開催について
市長は、ブラジルのさまざまな音楽の名前を並べ「サンバ、マラカトゥ、カボクリーニョ、ブレガ、マンギビート、そしてフレヴォが融合し、多文化の市松模様を描くだろう。オリンダのカーニバルは誰にでも開かれていて、お金があってもなくても楽しめる」と述べた。