空間リテール:空間コンピューティングにおけるショッピング
Vision Proでのショッピング体験で最初に感じたことは、小売店での体験を空間コンピューティングに変換するために、多くの実験が行われることになるだろうということだった。何事もそうだが、当たりもあればハズレもある。
アプリの中には、未来の魅力的なショッピング体験をいち早く垣間見せてくれるものもあれば、ウェブで行っていたことを単にApple Vision Pro上で再現しただけで、3Dを中心としたコンピューティングの進化を活用できていないものもある。
私たちが実際に店舗でショッピングする体験は、モバイルデバイスでありがちな静的なものとは違う。このことを理解し、これを理解する人々と協力するブランドは、最終的に空間リテール体験の価値を証明し、次の数年のうちに物理的および仮想的ファッションの実際の販売へとつなげられるだろう。
私たちは、より現実離れした完全に没入型の環境と、仮想オブジェクトが物理世界と反応しなければならない混合現実環境との間を揺れ動くショッピング体験において、高品質なアセットを使用した多くの実験を目にすることになるだろう。私は、アップルのSharePlay(対象を通話相手と共有できる機能)を使った空間ショッピングや、Personaを使ったより没入感のあるオーダーメイドのショッピング体験に特に期待している。
H&MやMoschinoのようなブランドは、2010年代後半にMagic Leap(マジックリープ)を使った空間コンピューティングとショッピング体験の実験を行った。これからは、各ブランドがApple Vision Proのポップアップを期間限定で開催したり、特定のイベントやファッションショーと連動させたりするようになるだろう。
ファッション月間には、空間コンピューティングがファッションショーのステージに登場しそうな予感がする。
空間コンピューティングによって、世界はキャットウォーク(ファッションショーでモデルが歩く細い通路)やキャンバスになり、革新的な既存のファッション企業は、AI、コンピュータビジョン、XRのような空間コンピューティングを可能にする技術に注力し、活用するだろう。一方、機敏で革新的な新進気鋭のプレイヤーも、この技術を活用し、モバイルの世界で起こったように、一部の既存企業に先んじるだろう。
ファッションは常に進化しており、モバイルコンピューティングから空間コンピューティングへの移行が、世界を再び変えることになるだろう。
(forbes.com 原文)