OMERは、大原昌人氏が創業した日本版のLVMH(モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)を目指した会社。日本は経済成長が鈍化していて、直近だと円安による経済的な打撃も大きく、このままだと海外から貧困国として見られてしまう危機感がOMERにはあった。
大原氏は、このような状況の中、日本から世界のトップを目指す企業の枠組みを作りたいという思いに至る。
そこで着目したのがフランスのLVMH。世界の時価総額の中でトップ20はGAFAMや電子系、大手スーパーマーケットなどの企業が占めている中、唯一ブランドの分野で入っているのがLVMHだからだ。
商品の開発は、まずギネス記録という話題ありきで考えられた。いい物をブランディングして世界に販売していく戦略を取ることにしたので、商品の開発はまずギネス記録をキーワードにしたのだ。
最初からCellatoという高級アイスクリームを作りたかったわけではない。高額品のギネス記録が過去にバズっていたことに注目。実際、福島県にあるお店の「世界一高価なパウンドケーキ」が SNSで話題になり、ギネス効果が販売に大きな影響を与えたことがあった。
そこで、身近にあるけど、最高級品にはなっていないアイスクリームに目を付けて、ギネス記録を狙うことにしたのだ。
商品のコンセプトとして「自然からのおもたせ」を掲げ、日本特有の美しい四季から着想を得て、自然の恵みを贅沢に使用した細胞までも喜ぶCellatoというジェラートの開発に着手する。
どうしたらCellatoが世界にわかりやすくインパクトを与えられるのかを考えた結果、まず着目したのが世界三大珍味だった。
それらを使って試作品を作った結果、白トリュフと黒トリュフが誰でもわかりやすく、アイスとの相性がいいことがわかった。
だが、ここで最大の難関が訪れる。それはギネス記録に挑戦するアイスゆえに前例がないこと。つまり、誰も作ったことがない商品なので、自分たちで試行錯誤しながら作らなければならなかったのだ。
商品の開発を協力してくれるジェラート会社を探すことから始まり、世界三大珍味を使ったジェラートが前代未聞だったので、試作に大幅な時間が掛かり、商品開発だけで1年以上の時間を要した。