今回のCEO交代は、かき入れどきである昨年12月と1月の売上高が前年同期比4%減だったことを受けてのものだ。
上場しているアパレル企業としては世界最大手のスペインのInditex(インディテックス)に次ぐH&Mは、その人気ブランドであるZARAとの激しい競争や、中国のアパレルネット通販Shein(シーイン)の台頭に直面している。
競争激化により、H&Mは過去12カ月で売上高よりも収益性を重視する方向へと舵を切った。2024年の営業利益率を10%とする目標を掲げている。ただし、達成は困難かもしれないことをほのめかしてもいる。
CEOを4年間務めたヘレナ・ヘルメルソンが退任したことを受けて、同社の株価は取引開始早々に8%強下落した。同社の株価は1月1日以来13%近く下落しており、今年は厳しいスタートとなっている。
ヘルメルソンはまた、CEOの職務は「非常に厳しい」ものであり、財務報告の場で職務を続ける気力がないことを認めた。
第4四半期の採算悪化
ヘルメルソンは1月31日付の声明で「社会人としてのほぼすべての期間をH&Mグループで過ごし、複雑な思いでCEO職を退く決断を取締役会に伝えた。しかし、私個人にとっては非常に厳しい時期があり、退くときが来たと感じている。もちろん、簡単な決断ではなかった」と述べた。新CEOとなった42歳のエルベールは、2005年に夏期研修生としてH&Mに加わり、以降、社内のさまざまな部署の職務を経験。過去4年間は、グループで最大のブランドであり社名を冠しているH&Mの責任者を務めてきた。