エクアドルの場合と同様に、ギリシャから三角取引でウクライナに送られる武器にも防空装備が含まれる可能性がある。旧ソ連で開発されたS-300地対空ミサイルシステムや9K330トール短距離地対空ミサイル、オサー、米国製ホーク中距離地対空ミサイルシステムだ。
三角スキームを通じた米国からの間接的な対ウクライナ支援が必要なのは、昨年10月以降、米議会共和党が、ウクライナに対する直接の追加軍事援助はおそらく決して承認しないという姿勢を明確にしたからだ。
共和党議員は、ドナルド・トランプ前大統領がウクライナに向ける個人的な憎悪と、権威主義のロシアに寄せるやはり個人的な好感に歩調を合わせている。
これらロシア寄りの議員たちは法案は妨害できても、米国がパートナー国向けの武器に資金を融通したり(編集注:対外軍事融資=FMF=と呼ばれるプログラムのこと)、米国の軍事ニーズを超えて余剰となったと大統領に認定された武器を譲渡したりできる、バイデンの大統領としての法的権限の行使は阻めない。
後者の余剰防衛装備品(EDA)に関する権限はとくに強力である。法律ではEDAの枠組みで移転できる武器の上限額は年間5億ドル(約730億円)に制限されているが、大統領が余剰武器に割り当てる金銭的な価値に関する規定はない。その価値はゼロ、つまり無償供与になる場合もあるのだ。受け取る側の国にとって主な問題は、輸送費については米国が負担することが認められていない点だ。
ウクライナ支援法案のメリットは、米国が製造できる、もしくは他国から購入できるほぼすべての武器を、ウクライナに供与できる基金を創設できる点ところにある。
バイデンが既存の融資権限とりわけEDAの権限に頼る場合、選択肢は少なくなる。今のところバイデンは、ウクライナ軍が使い慣れている旧ソ連式の武器をもっと入手できるように、三角取引向けに資金を融通したり、余剰武器を譲渡したりすることに最も熱心に取り組んでいる。
とはいえ、共和党が頑なな態度を崩さない限り、バイデンはさらに創意を発揮するだろう。ウクライナ、もしくは別のどこかの国が輸送費を負担すれば、バイデンはEDAをウクライナに直接譲渡することすらできるのだ。
(forbes.com 原文)