エクアドルがウクライナに間接的に供与した武器が何だったのか、推測することはできる。9K33オサー地対空ミサイルシステムだ。レーダーと、射程およそ10kmのミサイルの4連装発射機を組み合わせた旧ソ連製防空車両で、エクアドルは何年か前、当のウクライナから10基取得していた。
オサーは世界最高峰の防空兵器というわけではないものの、シンプルで信頼性が高い。ウクライナ軍の第1129対空ミサイル連隊にも、近代的な英国製ストーマー装甲車と並んでオサーが配備されている。
第1129連隊でオサーとストーマーは互いに補完する関係にあるという。同連隊の兵士は「オサーはシンプルで、目標をより早く見つけることができる」半面、アクティブレーダーを使うため「探知されるのもより早い」と語っている。つまり、応射にさらされる危険があるということだ。
ウクライナは2022年2月にロシアが戦争を拡大した時点で、オサーを100基程度保有していた可能性があるが、OSINT(オープンソース・インテリジェンス)グループのOryx(オリックス)によると、うち少なくとも16基をロシア軍による攻撃で失っている。エクアドルからの譲渡に先立って、ウクライナはポーランドから余剰分のオサーを入手している。
エクアドルからの返還分によって、ウクライナ軍のオサーは戦争拡大前の数に回復するかもしれない。とはいえ、ミサイルの発射機と合わせてミサイルがセットで供与されるのだとしたら、そちらのほうが発射機本体以上に重要だろう。ウクライナ軍はロシア軍のドローン(無人機)や巡航ミサイル、ヘリコプター、その他の軍用機を迎撃するために、短距離ミサイルを何千発と費やしている。
エクアドルに続いて、ホワイトハウスはより規模の大きい三角取引をギリシャと始めた。
ギリシャのカティメリニ紙やその他のメディアによれば、バイデン政権はギリシャに、マリンプロテクター級哨戒艇3隻やC-130H輸送機2機、P-3哨戒機用のアリソンT56ターボプロップエンジン10基、M2ブラッドレー歩兵戦闘車60両、複数の輸送用トラックを供与した。