サービス

2024.01.31 17:30

Spotifyが反発、iOS 17.4で適用されるアップルのEU向け新ルールに

つまり現在、Spotifyは、アプリをApp Storeで配布していることに対してアップルに一切支払いを行なっていない。無料アプリのデベロッパーは、自分のアプリをApp Storeに置くことについてアップルに何も払う必要がない。世界には10億台のiPhoneが存在しているため、App Storeは巨大なユーザーにリーチするスマートな方法だ。ストリーミングサービスの市場は巨大かつ急成長しており、Spotifyはそのトップを走っている。

DMAが要求する変更はかなり複雑だ。しかし、アップルのルールでSpotifyのような会社が最も影響を受けるのは、コアテクノロジー料(CTF)と呼ばれるものだ。新ルールの下、EUではApp Store以外のアプリマーケットプレイスを作る選択肢がある。そのマーケットプレイスでは決済方法を自由に選ぶことができる。その場合デベロッパーはアップルに販売にともなう手数料を払う必要はなくなるが、CTF(0.5ユーロ、約80円)を払わなくてはならない。CTFは、アプリが100万回以上インストールされた後、年間1インストールごとに発生する。インストールが99万9999回なら何も支払わなくてよいが、100万2回なら、1ユーロをアップルに支払う。

では、なぜそんな大騒ぎになっているのだろうか? それは2億ダウンロードのアプリ(Spotifyの登録者数はそれよりも多い)を有している会社は、突如として膨大な金額を払うことになるからだ。

もしSpotifyが現行のビジネス条件を維持することを選べば、今後も何も支払わなくてよい。しかし、当然ながら、ユーザーには最も便利なやり方でプレミアムに切り替える方法を提供したい。そうするためには、現行の条件の下でアップルに手数料を払うか、新しい条件の下でCTFを払うかのどちらかを選ぶ必要がある。

アップルにとって、ユーザー体験におけるプライバシーとセキュリティは最優先事項だ。App Storeはきわめて安全であり、アップルはコストなしにそれを維持することはできない。

アップルは「SpotifyのようなデベロッパーはApp Storeがもたらす価値を認めることも、そのために金を払うこともなく、膨大なiPhoneユーザーにアクセスしたがっている」と考えているのかもしれない。
SEE
ALSO

テクノロジー > 製品

iPhoneアプリが「公式ストア以外」からもダウンロードが可能に 欧州

forbes.com 原文

翻訳=高橋信夫

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事