「アップルは次世代iPhoneにAIを導入するために、密かに機能を強化している。アップルの目標は、生成AIをモバイル端末の上で処理し、AIチャットボットやアプリがクラウドを利用せず、端末自身のハードウェアとソフトウェアの上で動作することだ」とフィナンシャル・タイムズは報じている。
iOSに生成AIを導入するアップルの取り組みに関する最新情報によると、すべてをデバイス上で処理するという同社の意志は、期待されていたほど強固のものではないかもしれない。
Mac情報サイトの9to5MacがiOS 17.4ベータの中で見つけたコードが開発状況を示唆している。「アップルは大規模言語モデルを利用した新しいバージョンのSiriの開発を継続中だが、別の技術の助けも少し借りている」
Bloombergのマーク・ガーマンは昨年秋「アップルはOpenAIのChatGPTがロケットスタートを切ったときも、グーグルとマイクロソフトが検索エンジンのAIバージョンを公開したときも傍観するだけだった。アップルのAI関連の発表で注目されたのは、iOS 17の改良されたオートコレクト機能くらいだ」という。
そして驚きではないが、アップルが助けを借りている技術はChatGPTであり、「アップルはOpenAIのChatGPT APIを内部テストで利用し、自社のAIモデルの開発に役立てているらしい」と9to5Macは述べている。
9to5Macによると「iOS 17.4のコードによると、アップルは4種類のAIモデルをテストしているらしい。そこにはアップルの内部モデルであるAjaxGPTの2つのバージョンが含まれており、一方はデバイス上で処理し、もう一方はクラウドを利用している」。アップルはChatGPTを使って自社製のAIモデルの結果をチェックしているようだが、すべてがデバイス上で動いているわけではない。
アップルにとって問題になるのは、生成AIをクラウドで実行するグーグルの方法の方が、性能的に有利であることだ。一方でメッセージの分析はデバイス上でのみ行われると保証されていても、現実には、何百万ものユーザーが新機能を望んでおり、そのためには容易に理解できない不透明なプライバシー問題を喜んで犠牲にするだろう。
こうしてアップルはジレンマに陥る。「あなたのiPhoneの上で起きることはあなたのiPhoneに留まる」という同社の哲学は深く根づいている。しかし現実は、端末上で利用できるAIの処理能力は、CPU能力、ハードウェアコスト、バッテリー寿命、発熱および全般的な処理制限などにおいて、クラウドと比べて限界がある。