教育

2024.02.03

被災経験のある小学生が作った防災マニュアル、「みんなが助かるための」

プレスリリースより

2018年の大阪府北部地震で被災した関西大学初等部の6年生が、その経験をもとにまとめた書籍『やってみた! いのちを守る64の防災活動:小学生の体験レポート+専門家のアドバイス』を出版した。制作はもちろん、出版資金も児童たちが中心となりクラウドファンディングで調達している。

この本では、地震が起きる前、起きたとき、起きた後のそれぞれの場面で必要なものやとるべき行動を、子どもたちの実体験をもとに紹介している。たとえば、藤川花音さんは、避難所でのぬいぐるみ作りを提案している。プライバシーがない避難所の生活はストレスが溜まるので、ぬいぐるみがあればよかったと感じた。ただ、かさばるぬいぐるみを避難所に持っていくのは難しいので、避難所で簡単なぬいぐるみが作れたらストレス緩和になり、作り方を覚えておけば「小さな子どもたちのためにもなる」と藤川さんは助言している。

また、熊本地震の経験者や、同じ震災国であるネパールの人たちのインタビューをとおして感じたことが、子どもたちの視点でまとめられている。

小学校1年生で被災した同校の児童たちが5年生になったとき、学校で「みんなが助かる防災」をテーマにした探究学習「災害被害≒0プロジェクト」が始まり、子どもたちは防災活動に励んだ。本を作るきっかけは、防災イベントを開催したものの参加者が200人と少なかったことだ。もっと多くの人の防災意識を高めたいと感じた子どもたちは、2年間の活動を本にして出版することを決めた。

制作には防災研究家の河田惠昭社会安全研究センター長や関西大学の教員たちも加わっている。社会安全学部の教員たちから「防災行動を実際にやってみた! そしてこう思った! というコンセプトが面白い」と言われたことが、子どもたちの心に「火をつけた」という。


『やってみた!いのちを守る64の防災活動:小学生の体験レポート+専門家のアドバイス』(さくら社)
1650円(税込)
2024年2月9日(金)発売

プレスリリース

文 = 金井哲夫

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