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2024.01.31

サムスン製スマホのAI機能「Galaxy AI」が抱える複数の不安要素

Shutterstock.com

サムスンが先日発表した新型スマートフォン、Galaxy S24 Ultraは自社開発した人工知能(AI)機能の「Galaxy AI」がセールスポイントとされている。しかし、同社のモバイルにおけるAIリーダーへの道は、いくつかの課題が存在している。

まず最初に、Galaxy AIのサービスには有料化の壁が立ちはだかっていることだ。製品ページには、この機能が「2025年末まで無料で提供される」と記されている。しかし、有料になった場合の費用などの詳細が明らかにされていないため、このサービスに期待するユーザーを不安にさせている。

次に、対応端末の問題がある。Galaxy AIの対応機種は現時点ではS24、S24+、S24端末に限定されているが、今年の前半には、S23シリーズやGalaxy Z Fold 5などの端末にも対応予定という。サムスンがこの展開が遅れている理由として強調しているのは、デバイスでのローカル処理に必要なリソースの量だが、同社が早期にそれを解決すれば、市場をリードすることが可能だ。しかし、展開が遅れればそのチャンスは小さくなる。

AIを取り巻く状況は、かなり複雑なものになっている。サムスンのGalaxy AIは、同じデバイス内でグーグルが提供するAI機能と混在することになる。つまり、一般ユーザーは、Galaxy AIのサービスとグーグルのAIサービスとの見分けがつかないことになる。

さらに、中国ではグーグルのサービスが禁止されているため、Galaxy S24 Ultraは発表イベントで宣伝された多くの追加機能を中国で提供できない。そのため、サムスンは同国で人気の高いグーグルの代替サービスであるバイドゥのAI機能を使用すると報じられている。これにより、中国のユーザーにも同じメリットが提供できるかもしれないが、プラットフォーム全体で一貫したユーザー体験を維持するためには、舞台裏で別の複雑な問題が発生することになりそうだ。

サムスンのGalaxy AIは、すでに多くの好意的なレビューを獲得しているが、同社が今後直面する課題は、複雑化するこの分野における勢力争いの中で、AIのコモディティ化への懸念を払拭し、同分野におけるリーディングプレイヤーとしての地位を維持することにある。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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