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2024.01.29 12:00

アプリ不足に直面するApple Vision Pro、「わずか150個」で始動の可能性

(C)Apple

アップルは、Apple Vision Proの発売にあたり、マイクロソフトが過去に直面したものと同じ困難に直面することになる。それは、アプリの不足という問題だ。

アップルは3500ドル(約52万円)もの高値で売られるVision Proのハードウェアを最大限に活用するように設計されたネイティブアプリを揃えておくことを期待されている。しかし、データプラットフォームのAppfiguresは先日、Vision Proの立ち上げ時に用意されるアプリが、150個を少し上回る程度にとどまると予測した。比較のためにいうと、iPhone向けのアプリは180万個にも達している。

これまでiOSやiPadOS向けのアプリを開発してきた多くのデベロッパーは、小さなスクリーンに高密度の情報レイヤーを詰め込み、それらをマルチタッチやテキスト入力に対応させてきた。彼らがその開発の基盤を、広大な空間をシミュレートするVision Proに移し、視線追跡と指によるクリックを活用するのは容易なことではない。

また、その取り組みはコストがかかるものになる。インディーズの開発者たちの多くは、アプリ開発を始めるために定価でそれを購入する必要があるが、それに見合う売上をあげることは難しいかもしれない。著名アナリストのミンチー・クオは、Vision Proの予約注文台数が初週の週末に16~18万台に達したと報告したが、この台数は、アプリ販売のターゲットにするには非常に少ないものになることを示している。

アップルはさらに、大手のプラットフォームがVision Pro向けのアプリの提供を拒否する事態にも直面している。

ネットフリックスのグレッグ・ピーターズCEOは、インタビューで「リターンがないところには投資しない」と述べ、Vision Pro向けのアプリを提供しないことを表明した。グーグルも、Vision Pro用のYouTubeアプリを用意せず、その代わりに、Vision ProのユーザーはデバイスにバンドルされているウェブブラウザのSafariでYouTubeを開くよう提案している。スポティファイも、現状ではVision Pro用アプリの提供計画がないことを明らかにした。

このようなアプリの不足は、プラットフォームの評判を損なう可能性がある。マイクロソフトが2010年に発表したWindows Phoneは、優れたユーザーエクスペリエンスとインターフェースを持っていたかもしれないが、主要なアプリが1つもなかったため、当初から死に体だった。

新たなプラットフォームを立ち上げる企業は、このような問題に直面する。アップルは、iOSアプリの開発者の人材プールや熱狂的なユーザーコミュニティに支えられており、他の企業よりも有利な立場にあると考えられる。しかし、果たしてそれがVision Proを支えるためにも十分なものかどうかは、まだわからない。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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