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2024.01.29 15:00

「そんなことは言っていない」米ポルノ女優が語るディープフェイクの脅威

安井克至
それでも、ポルノ女優は他の有名人とまったく同じ種類のなりすまし被害にも直面する。スートラは、彼女や他のパフォーマーたちの肖像が、商品を売りつけたり、独占コンテンツと称したり、さらには実際に会えると謳うような詐欺ビジネスに無断で使用されていると語った。この種のオンライン詐欺は、メインストリームのセレブをターゲットにすることが多いが、ポルノ女優は、他の公人よりもなりすましに対する保護が少ないと彼女は述べている。アダルト業界のパフォーマーたちは、YouTubeやインスタグラムなどの主流なSNSで厳密な本人確認ができないため、ファンたちはどのアカウントが本当に本人のものなのかを知ることが難しいのだ。

この問題に対処するために、ポルノサイトと既存のSNSサイトの両方が、ユーザーが本物のアカウントとなりすましを区別できるよう、より強力な検証手順を開発することを望むとポルノ業界のパフォーマーたちは述べている。業界のマーケティング担当エグゼクティブで、タレントマネージャーのクリステン・ケイはさらに踏み込んで「ポルノサイトはAIコンテンツをアップロードする者に、その中に描かれている肖像のライセンスを保持することを義務づけるべきだ」と提案した。

しかし、そのようなさまざまな議論の中で、すべての出演者が同意したことの1つは、AIがすぐに彼らの仕事を奪うことはないということだ。生成AIによる完全なフェイクのポルノも普及しているが、それはまだ本物のクオリティには及ばないし、将来的にそうなり得るかも疑問だ。

ラビングスは、本物の人間の感情をコンピュータが再現するのは容易ではないと考えていると語った。「私たちはある種の職人芸のようなコンテンツを作っているのです。本物を求めるのであれば、クリエイター自身のサイトに行くしかない。そして、多くの人にとって、それこそが本当に求めているものなのです」

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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