物流の2024年問題でマイナス影響を見込む企業が7割

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あと2カ月あまりで、これまで猶予されてきた建設業や運送業、医師などの時間外労働の上限規制が適用される。長時間労働を是正することで、健全な生活や交通事故の削減などが期待できる一方で、人手不足による工期の長期化や運送の遅延や削減など、いわゆる「2024年問題」が懸念されている。

帝国データバンクによると、こうした2024年問題全般について調査したところ「マイナス影響がある」と回答した企業は59.9%に上った。特に物流の2024年問題に絞ると「マイナス影響がある」企業は68.8%とさらに懸念する企業が増える。

企業としては、「物流コストが増加すれば製品単価の上昇につながり景気は後退する」「現状も部材不足の納期遅延が多い。物流問題が生産計画に波及し、さらに悪化するかもしれない」などの声があがっている。

具体的に影響受ける項目としても、やはり「物流コストの増加」がダントツトップで66.4%。「人件費の増加」が41.0%、「人手不足の悪化」が40.0%と続いている。

物流の2024年問題のうち、対応(予定を含む)を行っているか問うたところ、「対応あり」は62.7%に上り、対応策としては「運送費の値上げ(受け入れ)」が43.3%でトップ。「スケジュールの見直し」が36.3%、「運送事業者の確保」が24.9%と続いていて、物流絡みが多いことが伺える。


こうした問題に対して、政府の対応として求めるものは「金銭的支援」が34.0%、「人材育成・確保の支援」が32.3%、「高速道路料金などの見直し」が29.3%と続いている。「単に補助金を出すことなどではなく、先を見据えた対策を支援する体制を国に設けてほしい」といった意見もあり、金銭のバラマキだけでなく、将来を見据えた対策も求められている。

こうしてみると、意外と2024年問題に対して意識している企業が多く、その大半は影響があると考えているようだ。すでに運送コストの上昇を見越して商品の値上げを実施(予告)している企業もあり、ただでさえ円安で物価が上昇する中、消費者にとっても厳しい年になりそうだ。

出典:帝国データバンク「2024年問題に対する企業の見解について調査」より

文=飯島範久

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