欧州

2024.01.28 14:00

石油・ガスをドローンで「起爆」 ウクライナ、ロシア国内施設を次々攻撃

ロシアの首都モスクワ上空を飛ぶドローンのイメージ画像(Shutterstock.com)


イエメンの親イラン武装組織フーシ派は、小型のドローンがその大きさ以上の効果をもたらし得ることを示してきた。2019年にはサウジアラビア東部アブカイクにある国営石油会社サウジアラムコの石油施設を炎上させ、2021年には同国のラスタヌラ、ラービグ、ヤンブー、ジザンにあるサウジアラムコの施設を同時攻撃。2022年には自動車レースのフォーミュラワン(F1)の開催を控えていたサウジアラビア西部ジッダにあるサウジアラムコの施設を攻撃し、世界中のメディアが見守る中、大きな火災を起こした。
advertisement

ウクライナのドローン生産事情

ロシアがイラン製ドローンのシャヘドでウクライナを爆撃し始めたとき、人々はウクライナ国産のドローンでの反撃について口にするようになった。単純な作りのシャヘドの最も高度な要素は中国や欧州、米国で生産された市販の電子部品で、価格は2万~4万ドル(約300万〜600万円)程度だ。ウクライナのドローン業界は大きく、数カ月のうちに長距離攻撃ドローンを設計・製造・テストし、生産・運用を始めた。

ウクライナは現在、多くの長距離攻撃ドローンを保有する。軍事アナリストのHIサットンは、主要なタイプ(通常45kgの弾頭を約1000km運ぶ)を分かりやすくまとめたガイドを作成した。

ウクライナのオレクサンドル・カミシン戦略産業相は昨年11月、同国はシャヘド型のドローンを月に「数十機」製造していると発言。翌月には、さらに大規模な生産計画を発表した。
advertisement

「われわれはすでに中距離(数百km)を飛行できる無人戦闘航空機を1万機以上生産する能力があり、来年には航続1000km以上のドローンを1000機超生産できる」とカミシンはウクライナのメディアに語った。

特に、ウクライナ企業ターミナル・オートノミーの新型AQ-400 Scytheのようなドローンは、容易に大量生産できるように設計されている。Scytheの機体は、普段は家具を手がけている企業によるプレカット加工の合板で作られており、熟練者でなくとも基本的な工具があれば組み立てることができる。ターミナル・オートノミーは今年第1四半期に月500機のScythe生産を目指している。
次ページ > ロシアの武器が「氷」ならウクライナは「火」

翻訳=溝口慈子

タグ:

連載

Updates:ウクライナ情勢

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事